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本さえあれば、日日平安

本さえあれば、日日平安

長迫正敏がおすすめする本です。


本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!

2026/08/21 更新

本さえあれば、日日平安


長迫正敏がおすすめする本です。


文庫

プレゼント

著者:伊坂幸太郎 江國香織 恩田陸 梨木香歩 町田そのこ 宮部みゆき 米澤穂信

出版社:新潮社

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プレゼント

靴下をはこうと左足を引き上げた瞬間、そいつはやって来た。腰に激痛、その場から動けなくなった。魔女の一撃、地獄の苦しみの始まりである。
これまで何度か経験したが、今回のは桁違いだった。歩けないのはもちろん、座れない、横になっても痛みで寝返りがうてない。そもそも一旦寝たら起き上がれない。トイレに行くのもままならないので、万一に備えて妻に大人用のそれを買いに行ってもらった。

数日後に何とか動けるようになり病院に連れて行ってもらった。車の振動が腰に響き、着いたら痛みが増していた。
レントゲン検査では骨に異常なし。ただ腰の骨と骨の間が狭くなっているとのこと。もっと詳しく調べましょうとMRI検査をしてもらった。もしかしてと懸念していた病名が医師から告げられた。

痛み止めを処方してもらった。1週間しても治まらないので、より強めの薬にしてもらった。その後、徐々に効き始め、リハビリに通っているとだんだんと楽になっていった。
それでも結局、仕事に復帰するまでほぼ一ヶ月かかり、多くの人にご迷惑をかけしてしまった。健康のありがたみを改めて感じた。

痛みがある時は座るのも前かがみになるのも辛く、立ったまま片手をテーブルについて体を支え、もう片方でスプーンを持ち、直立不動のままお粥のようなものを口に運んだ。
やがて長時間でなければ座って食事ができるようになった。薬を飲む時間帯の関係で妻とは食事をするタイミングが違う。そのため一人でテーブルにつくのは寂しいのでTVをつけた。画面には「孤独のグルメ」の再放送が映っていた。

井之頭五郎さんと向き合って食事をしている気分がして、その孤独ではない「ひととき」が毎日の楽しみとなった。ちなみに五郎さん役の松重豊さんのプロフィールを見ると私と同学年だった。より親近感がわいた。

こうして痛みが去り、そして思う。普通に食事ができ、普通に本が読めるのは本当に幸せなことだったのだ。
五郎さんの「腹が、減った…」ではないが、「本が、読みたい…」

夏といえば毎年工夫を凝らして展開している文庫フェアである。なかでも一番早く1976年に始まったのが『新潮文庫の100冊』。そして今年50周年記念作品として出版された全編書き下ろしの短篇集がこちら。

新潮文庫『プレゼント』  
伊坂幸太郎(いさか・こうたろう) 江國香織(えくに・かおり)
恩田陸(おんだ・りく) 梨木香歩(なしき・かほ) 町田そのこ(まちだ・そのこ)
宮部みゆき(みやべ・みゆき) 米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)

『夏』をテーマにしたミステリ、恋愛、ホラー、青春、ファンタジー、様々なジャンルが詰まった、読みやすく、どの世代の誰にとっても楽しめる「読書の入口」にピッタリな1冊。描かれている物語はどれも一級品で、各作家の魅力を存分に味わうことができます。伊坂幸太郎さんの描く名探偵、町田そのこさんが描く甘酸っぱい恋愛、恩田陸さんの描く青春ホラーなどなど

試しに「孤独のグルメ」井之頭五郎さんの名言をそれぞれの作品に当てはめると

俺がジンギスカンで、ジンギスカンは俺だ
伊坂幸太郎「ウッドペッカー荘事件」

早くご飯来ないかなあ。焼き肉といったら白い飯だろうが
江國香織「二つの宇宙」

腹がたったら、おいしいものを食べろ
宮部みゆき「真実のトランク」

こういうの好きだなシンプルで ソースの味って男のコだよな
町田そのこ「きっとあの日の光と同じ」

俺は今生きている。これ以上何を望む
米澤穂信「無明」

食べはじめたばかりなのに、ごはん不足が当選確実
梨木香歩「見越しのマツ」

焦るんじゃない、俺は腹が減っているだけなんだ
恩田陸「伝説の季節」

注:個人の感想です。名言と物語の内容とは全く関係ありません。

てなことが書けるようになったので、もう大丈夫です。

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