今この文章をお読みくださっているのは緊急事態宣言が解除され外出自粛も緩和されている頃でしょうか。『ペスト』（新潮文庫）などで感染症の歴史を知る本以外に、この時期ぜひ読んでいただきたいのが、ユダヤ人心理学者が極限状態の強制収容所から奇跡的に生還し、そこから「生きる意味とは何か」を問いただした本書です。
今のコロナ禍での閉塞状況と本書の状況を比ぶべくもありませんが、どんなに苦しい環境下においても、人は美しい自然・芸術に魂を揺さぶられユーモアに心を癒やされると記されています。これまで当たり前にできていたことが突然剥奪され心を閉ざしがちになっている今こそ、本書に学ぶことは多くあります。宣言が解除されてもすぐに元の状態に戻るのは難しいでしょう。しかし困難な事があっても乗り越えれば未来があることを信じさせてくれる１冊です。