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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2008/02/09 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


フィクション

クローバー

著者:島本理生

出版社:角川書店

クローバー

今まで、この作家の事が苦手でした。
 読んでいると、息苦しくなる。思わず途中で本を閉じてしまう事もしばしばでした。それなのに、どうしてか何冊も買ってしまう。何度も読み返してしまう。激しい内容の物語ではありません。淡い、ひとことでは言い表せない感情のまざり合う物語です。期待や失望、不安やあきらめやときめきがごたまぜになったような。

 あ、そうか。

 わかりました。どうしてわたしが、そんないたたまれない気持ちに襲われていたのか。
 今回、この「クローバー」を、わたしは気楽に読む事ができました。すごく、面白かった。登場人物たちが愛おしく思えました。こんな純粋な、不器用な恋をしてみたい。物語の中の感情のひとつひとつが、せつなくて、とても懐かしい。
 今、この作家の本を読んで、いたたまれない思いをしている人は、その感情を大切にして欲しいです。つまらないと思う日々や、面倒な周りの人や、その繊細な心をもっともっと味わって欲しいです。今、忘れたい、消えてしまえ、と思っている事も、もう少ししたら懐かしくて、思い出したくても思い出せなくなってしまうから。

 わたしも、青春小説を平常心で読めるようになったんだなぁ。
 やっと、大人になりました☆

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