真っ白な、さらさらのお砂糖を手に掬って、かすかな甘い香りを感じようと顔に近づけます。するとそれは砂に変わってしまい、乾ききって、指の間からどんどんこぼれてゆきます。そんなざらりとした感覚に読んでいる途中なのに本を閉じてしまいました。
　気分転換に、牛乳を温めてロイヤルミルクティを作ります。

　この本は五つの短編からなっています。
　どの物語も、結婚というものにまだ甘い夢を見ているわたしには恐ろし過ぎるものばかりです。
　どうしてすれ違うの？どうして分かり合えないの？どうして離れていくの？何もわかっちゃいないわたしには疑問符でいっぱいの大人の世界。
　何年も時間を積み重ねて、ようやく理解した時にはもう取り戻せなくなっているのでしょうか？夕暮れの光景のように悲しくて美しい、年を取った男と女の人生に思いを馳せてみても、想像が追い付きません。

　たっぷりお砂糖を入れたはずの紅茶が思ったよりも甘く感じられなくて不安な後味を残します。
　まだまだまだまだ、甘い所だけ味わっていたいな。
　全っ然、覚悟なんてできていませんから！！！