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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2009/06/18 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


フィクション

カルメン・ドッグ

著者:キャロル・エムシュウィラー

出版社:河出書房新社

カルメン・ドッグ

 子どもの頃は、男の子と同じだったはずなのに。大人になればなるほど女の子は男の子よりよけいに重力に縛られてゆくような気がする。
 なぜ、わたしたちはこんなに不自由なんだろう。
 この小説を読むと、その理由が解る気がします。
 世の中の女たちだけが変身をし始める物語。
 飼い犬だったプーチは知性と美しさを持つ若い女性に変わってゆきます。飼い主であった奥さまは狂暴なカミツキガメのようになり、自分の赤ちゃんに噛みついてしまいます。
 プーチは赤ちゃんを守るため、そして胸に抱く夢のために家を飛び出します。
 そして出会うさまざまな姿をした女たち。理性を得た動物たちが時折見せる獣の本性と、野生に還ってしまった女たちが本能的に持つ母性。どんなに人間に近づいても、獣に変身して言葉を失っても、女たちは、そのふたつの心を持ち続けます。
 現実の女もきっと同じです。見た目には変身はしませんが。地球の重力が少しでも弱まれば、女たちはみな、月に引き寄せられて、きっとこの世界から解き放たれてしまう。
 キャロル・エムシュウィラーの小説はどれも読んでいる間わたしたちを余計な重力から自由にしてくれます。全ての女性にお薦めの本です!!

 男性は読まないほうがいいかも・・・。女性の真実を知る覚悟がある方は、どうぞご一読くださいませ♪
 

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