金子みすゞの詩を読むと、その頁の余白からたくさんの音や色やにおいが溢れて来るような気がします。
子どもの頃はこういったものにちゃんと気がついていたのに。雨の時は雨の降る音、雪の時は雪が降る音を飽きもせずいつまでも聴いている事ができたのに。
今のわたしは、音楽プレイヤーやテレビ、携帯電話、ネットなどいつでも何かとつながっていて、周りの音をただ聴く事が少なくなっています。時々は、スイッチを切ってみよう。静かな部屋で、詩の中の音や色が、もっとはっきりわかるように。詩を読んで感じた事がもっとこころに広がるように。体の奥までちゃんと届くように、時々声に出して読んでみます。


さっきから窓の外でかすかにベルのような音が続くので不思議に思っていたら、鈴虫の声だと気が付きました。気がつかなかっただけで、世の中にある音は金子みすゞが詩の中に描いたものと変わらないんだろうな、と思えて嬉しくなります。