この物語は、どのお話も冷たく澄んでいて、北極星がよく見えます。
　遠くて触れられないけれど絶対にそこに輝き続けるもの。手が届かないのは悲しいけれど、けして失わないというのは心安らぐことかもしれないな、と思います。
　夏よりは圧倒的に冬の方が好きなので、ひと足もふた足も早く、冬を感じられて嬉しい本です。いろいろな事件が起こり、泣き、笑うハッピーエンドの恋愛小説も嫌いではないのですが、この本のような物語の方が読んでいて心乱されないので安心できます。一喜一憂するよりも、孤独と向き合う方が得意だと思うので。