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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2009/09/15 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


文庫

ずっとお城で暮してる

著者:シャーリイ・ジャクスン

出版社:東京創元社

ずっとお城で暮してる

 『ずっとお城で暮してる』

 女の子が見たら、心ときめいてしまう題名ですね。題名だけは。

 一心に読みふけり、気が付くと読書灯しか点いていない部屋の中は日が暮れかけて青く染まっています。
 早く、部屋の明かりを点けないと、メリキャットとコニーのようにお城の中から出られなくなってしまいそう。
 今もずっとふたりが幸せに暮らすお城がこの世の何処かにあるような気がして怖くなってしまう夕暮れ。

 この本は、よっぽど心と体の調子が良い時でないと、読み終えた後の生活に支障がでてしまいそうな不気味なものなのですが(今も胸がむかむかしてきました。食べ過ぎのポッキーのせいかもしれませんが)時々どうしても読みたくなってしまいます。
 勇気や希望や感動を与えてくれる本も良いのですが、この世の全ての望みが打ち砕かれた後に広がる荒涼とした景色や剥き出しになった人間の本性が描かれた本の方が、いっそ清々しく心の中を照らしだして(明るみに引きずり出す、と言った方が良いかも)くれる時もあるのです。

 だ、大丈夫です!いつも明るく楽しく生きていますから・・・☆


 何年も前から、全巻揃えたいな、と思いつつ二巻までしか購入していない早川書房の異色作家短編集。その六巻『くじ』にシャーリイ・ジャクスンの短編が収録されているのを知りました。
 ふふふ、ぜひとも手にいれなくては・・・。

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