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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2009/10/19 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


フィクション

くじ  異色作家短篇集6

著者:シャーリィ・ジャクスン

出版社:早川書房

くじ  異色作家短篇集6

 9月15日に紹介したシャーリィ・ジャクスンの、今度は短編集です。
 短編なので『ずっとお城で暮してる』のような狂気がその姿を現す前に突然ブツン、と話が終ってしまう。今、不気味な何かの影が見えた・・・と、いう所からその先はもうわからない。
 余計に、おそろしい!!
 物語の登場人物たちが普通に暮らす普通の人たち、にしか見えないのがまたなおさら得体の知れなさを増します。「普通」って本当は何なんだろう。
 現実そっくりのリアルな夢を見ている時のような違和感と薄暗さ。周囲をはっきり見通せない、あの感じ。
 この『くじ』も前回の本同様、とっても楽しかったです。しかしこの内の『魔女』という短編だけは自分がそんな場面に出くわしたら・・・と思うとぞっとしてあまりじっくり読めませんでした。
 『麻服の午後』の少女には共感が持てて面白かったです。他の話もどれも素敵でした。でもあまりのめり込んで読んでいると外出した際に、周りの風景が何もかも疑わしく不気味に見えてしまうので要注意です・・・。

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