おすすめの本RECOMMEND
いつか読書をする人へ
井上いつかがおすすめする本です。
啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?
2010/07/01 更新
いつか読書をする人へ
井上いつかがおすすめする本です。
フィクション
鼓笛隊の襲来
著者:三崎亜記
出版社:光文社
カエルにキスはしなかったけれど、たくさん読み聞かせてもらった物語のような魔法を半ば信じてしまっていた頃がありました。
洋服だんすの奥に魔法の国があると潜り込んだり、ほうきにまたがって階段の一番上から飛び降りたり、ぬいぐるみや人形が動くと信じて夜遅くまで眠ったふりをしてみたり、台所の調味料を全部混ぜたものを牛乳で割り、弟に飲ませてみたり(魔法の薬を作ったつもりだった)。思い返すとちょっと怖い子供ですね。それでも、「熊が出た!」と大騒ぎしながら三輪車で逃げて来て、見に行ったら泥だらけのイタチだった妹の勘違いや、傘をさして高い所から飛び降りて怪我をした弟よりは少しはましな気がしますが・・・。
そんなわたしも大人になりました。
この世界に不思議な裏側はないんだ、と目が覚めていたのですが、最近三崎亜記の小説を読むうちに、またもや子供の頃のような考えにとりつかれ始めています。
今、わたしの目に映っている世界は他の皆とまるっきり同じなのだろうか。
ちょっと別の角度から見たら、わくわくするような不思議な事が隠れているんじゃないだろうか。
今年の夏はわたしの住む町にも鼓笛隊が襲来するかもしれないし、来月にはとなりの町が空に浮かんでいるかもしれない。
小説の中の不思議な現実に急に気が付く日が来るのかもしれない、と思わせてくれる三崎亜記の小説が今のお気に入りになっています。
・・・ん?なんだか現実逃避みたいですね。
やばいやばい☆