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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2010/12/17 更新

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井上いつかがおすすめする本です。


フィクション

オリーヴ・キタリッジの生活

著者:エリザベス・ストラウト

出版社:早川書房

オリーヴ・キタリッジの生活

 久しぶりに友達三人で集まった土曜日の夜。
 ものすごく夜更かししているような気がしていたけれど、まだ九時半にもなっていない。二次会にいっちゃおうか?と盛り上がっていたくせして、慣れない子守にギブアップする夫たちの電話にみんな少しほっとしていました。

 この小説のなかでオリーヴ・キタリッジは中年の女性として登場し、最後の短篇では七十四歳になります。
 わたしたちがそうじゃないかと予感して、恐れていること ―結婚したからといって孤独でなくなるとは限らない― が、ざっくり、ばっさり描かれていてなんだかもう負けそう。
 それでも、人はどこにいても、誰といても孤独なのかもしれないのだけど、夜の街をどこまでだって行けた頃より今の方が安心します。
 呼び出しの電話に『も~っ!』と、三人でがっかりしたふりをしたけれど、その足かせの重みを感じていると、北風が少し和らぐような気がしました。

 
 

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