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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2011/01/16 更新

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井上いつかがおすすめする本です。


フィクション

伏 贋作・里見八犬伝

著者:桜庭 一樹

出版社:文芸春秋

伏 贋作・里見八犬伝

 
 追うものと、追われるものは、まるで運命の相手のようだったりします。

 しかし、ルパン三世と銭形のとっつぁんのように、いつまでも仲よしこよしの追いかけっこをしているわけにはいかないこの物語。

 追われるもの『伏』は犬と同じ寿命しか持たない犬人間。長くて二十年しか生きられません。
 人間から追われ、寿命にも追われ、それでも何もかも手に入れたくて、獣の本性のままに欲し、奪い続けます。
 人生のほんのわずかの間しかなくて、常識というものに自分をうまくあてはめられず、傷つき、苛立ち、周りの全てに吠えたててしまう少年や少女の姿に少し似ていて読むうちに物悲しくなってしまいました。

 悲しい運命を背負っていても、飄々と生きている伏と少女浜路の追いかけっこ。

 わくわくはらはらの大活劇と、一瞬の美しさに切なくなる瞬間とを同時に味わって、息切れしてしまうような読み応えでした。
 

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