1979年から2010年の間に書かれた短い文章が集められた本です。

　いろいろな作家の感想文を書いていますが、村上春樹の本だけは、さっぱり感想というものが浮かんできません。
　もちろん、嫌いなわけではありません。
　十五歳の時に村上春樹と出会って以来、何度も何度も何度も読み返し、その時に出会う小説を自分の気持ちと重ね続けてきたので、影響され過ぎて、わたしの考え方の一部になってしまっている気がします。

　全ての小説にリアルタイムで出会ったわけではないですが、これはあの小説が書かれていた頃なんだな、など背景にもどきどきしながら読みました。
　その小説を読んだ頃の自分のことを急に思い出したりして、嬉しいような、さみしいような、卒業式の後みたいな変に胸が締め付けられる気持ちが沸き上がってきます。

　まるで自分の古い日記を読み返しているみたい。
　初めて読む本なのに、懐かしくかんじます。

　この本も、何年か後に読み返すと、今の事を思い出したりするようになるのかな？