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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2011/11/14 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


文庫

ラテンアメリカ五人集

著者:マリオ・バルガス=リョサほか

出版社:集英社

ラテンアメリカ五人集

 ラテンアメリカ文学を初めて読んだのは、高校生の時。
 現代文の教科書に一部掲載されていたフリオ・コルタサルの『占拠された屋敷』でした。
 読み終えた後、居眠りから突然覚めたみたいに、教室中をきょろきょろと見回してしまったのを憶えています。

 大人になってからは、ガルシア・マルケスを何冊か。そして次に手に取ったのがこの短編集です。


 いつ、どの作家の本を開いても、物語の世界を眺めていると悲しくてたまらなくなるし、家にいるのに強烈なホームシックに襲われます。このままこの世界に取り残されて、帰れなくなってしまうんじゃないかしら?と不安でたまりません。
 そうして怖くなって、しばらく離れていると、ダイエット中のチョコレートみたいに、欲しくて欲しくていてもたってもいられなくなり、夜中にまた手に取ってしまうのです。(余談ですが、只今午前1時半、板チョコをかじっております・・・)

 今回読んだこの本の中では『砂漠の戦い』と『子犬たち』が特に気に入りました。
 少年が大人になるためには、その心を無傷なままでは生き抜けない危険な道を進まなくてはならないんだ、と思い出させてくれる物語です。


 物語の世界のことなのに、今いるここよりもずっと生々しくて重たい。
 開いた物語の扉を閉じるのに、大変な力が要りました。


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