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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2012/03/18 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


フィクション

オスカー・ワオの短く凄まじい人生

著者:ジュノ・ディアス

出版社:新潮社

オスカー・ワオの短く凄まじい人生

 ラテンアメリカ文学は、好きなくせに何冊読んでいてもちっともわからないままだ。と、思っていたのに。

 マンガ、アニメ、SF、ファンタジーを全身に注ぎ込んだオスカーの目を通して、彼の言葉に翻訳されるとこの物語は、今わたしがいる場所と違わないように見えてきました。

 一族が背負ってきた呪いや、彼らのルーツであるドミニカの歴史や社会情勢は、わたしにとって全く馴染みのないものです。
 だからきっと考え方も習慣も、心の成り立ちから全然違っているのだろうと勝手に思い込んでいた自分が恥ずかしくなりました。


 オスカーも、彼の姉ロラも、母親ベリも、同じ世界に立って、全てに向かって戦いを挑み続けています。
 生きるって、こういう事だった、そうだった。

 人生に、運命に打ち勝つって、一体誰ジャッジで決まるんだろう。
 オスカーは勝ったんだろうか?
 傍から見たら負けまくっているように見えたとしても、戦っている本人がどう感じて何を手に入れ、失うのか。幸せなのか不幸なのか。
 それは、本人にしかわからないことです。

 わたしの戦いは、これからどうなるんだろう。


 オタクの女の子に全くもてない青年だけれど、最初からずっと、かっこ良かったよ、とオスカーに伝えたいです。

 

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