おすすめの本RECOMMEND

KEIBUNSHA

いつか読書をする人へ

いつか読書をする人へ

井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2012/07/08 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


フィクション

開かせていただき光栄です

著者:皆川博子

出版社:早川書房

開かせていただき光栄です

 18世紀のロンドン。

 昼も、夜も薄暗く本物の闇がまだ存在している世界。

 薄暗い影越しに見える少年達の顔も、目を凝らす度に別人のような一面を見せます。

 なんだか、いつもより目が悪くなってしまったような。ロンドンの霧がページの前で邪魔をしているようで、読んでいる間、何度も振り払いたくなりました。


 こんな時代の人体解剖は、大変だっただろうなあ。腐臭や汚泥、ゴミや家畜やさまざまな悪臭がページをめくる毎に立ち上ってくるようです。
 そのなかで、少年達だけは、そんな悪臭とは無縁のように優雅で清浄に思えました。


 いやいや、本当は本当はきっと、エドもナイジェルもぎとぎとでねとねとでくさいんだ!きっとそうに違いない。

 だってだって、21世紀に毎日お風呂に入っているたった2歳の天使のように清らかなはずの男の子の頭と足が、びっくりするくらいに臭いのだから・・・。


 そんなしょうもないことを考えながらもはらはらドキドキして、ページをめくる手が止められない読書を楽しませてもらいました。

 うっかり者なので、ミステリーの感想文はネタばれしてしまわないかびくびくです。


----------------------------
お買い求めはこちら。

お買い求めはこちら。

おすすめの本一覧へ