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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2013/06/22 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


文庫

栞子さんの本棚 ビブリア古書堂セレクトブック

著者:夏目漱石他

出版社:角川書店

栞子さんの本棚 ビブリア古書堂セレクトブック

 時々、本当に疲れてしまうときがあります。

 赤ちゃんは泣くものよ~、三か月もすれば朝まで眠るようになるよ。

 離乳食を始めたら、おっぱいを卒業すれば、昼間たっぷり外で遊ばせれば、幼稚園に行くようになれば、朝までぐっすり眠るようになるよ。


 うちの子は、例外だったぁ~。

 スイミング行ったり~

 リトミック行ったり~

 弁当持って一日公園にいたり~

 したけどさっ。

 夜、泣き叫んで何度も起きる息子を抱っこしながら、眠りたいなあと考えているとふと、急に『それから』の冒頭を思い出しました。
 そうだ。代助が、眠りながら聞いた枕元の椿の花が落ちる音が、ゴム毬を天井裏から投げつけたかのように響いたように、息子の感じている世界は強烈なのかもしれない。
 あの小説は、他にもいろいろな花が出てきたっけ。三千代が持ってきた百合に、代助が活けた鈴蘭に、他になにかあったかな。
 小説のあらすじを頭の中でなぞっていると、泣いている息子にいらいらする気持ちが薄れてきます。
 そうだよな、楽しい事も嫌な事も初めてのことばかりなんだから、神経が過敏なようでもしかたない。代助みたいにいい大人になってもそうなら、ちょっと大変だけど。


 なんだか、本ってすごい。
 読んでもいないのに、わたしを助けてくれた。

 読む時間がない、と言い訳ばかりで、今回も短篇や、小説の冒頭を収録したこの本をちょこちょこ時間をつまんでは読み終えました。

 坂口三千代の『クラクラ日記』と国枝史郎の『蔦蔓木曽桟』は、続きがよんでみたくてたまらないし、ロバート・K・ヤングの『たんぽぽ娘』は、三回読み返して毎回泣ける短篇です。

 そういえば、本を読む時間がないないばかり言っていますが、毎日寝る前に息子に絵本を二冊読んでいるんだった。
 息子は『おやつ、にさつたべていい?』と、ものの数の単位が『冊』だと勘違いしているようで、直すのに苦労しています・・・。

 読めなくても心の中にお気に入りの一冊を☆なんて~。

 眠くて疲れ果てているわたしを助けてくれる本。

 でも、睡眠を奪うのも、本なんですよねぇ・・・。



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