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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2013/08/14 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


文庫

ちょんまげぷりん

著者:荒木源

出版社:小学館

ちょんまげぷりん

 手作りのお菓子を作らなきゃ!!

 さぁーっと血の気が引くのを感じます。やばい。本当にやばい。

 フルーツミックスゼリーの入ったパウンドケーキ、レモンの香りのマドレーヌ、牛乳ゼリーやドーナツ・・・共働きで忙しかったはずなのに、学校から帰ると手作りのお菓子が冷蔵庫に入っていたり、日曜日には一緒に作ったりしてくれていた母。
 お菓子作りは計量もきちんとしなくてはいけなくて難しい作業が多いのに、やりたがるわたしにお手伝いをさせてくれました。
 スナック菓子はあまり馴染みがなくて、母の手作りお菓子と、それができるまでの時間が大好きでした。


 忙しい、疲れた、時間がない。

 わたしは、この三つの呪文を唱えながら家の中のことを簡単、お手軽、省略してしまっています。

 この物語は、江戸時代から一人の侍がタイムスリップして来るお話です。だからてっきりSFかラブストーリーなのだと思っていました。
 読後にまず思ったのは、わたしはちゃんと息子と向き合えているだろうか?ということでした。

 生きることというには大げさな、掃除や料理や子育てなどの作業のひとつひとつと丁寧に向き合う安兵衛の姿に、生活が便利になってわたしたちが得たものと失ったものが分かるような気がしました。

 時間はいつだってちゃんとある。

 欲を出せばきりがなく、かわりの何かを差し出さなくてはならなくなる。

 今の世は、選択肢や欲しいものが溢れ過ぎているので、自分の手の中にあるものをしっかり確認しながら歩いていこうとおもいます。
 欲しくなって掴んだ時に持っている大切なものを取り落とさないように。


 とりあえず、ぷりんをつくるぞ~!!

 息子よ待っていてね☆





 

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