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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2014/02/27 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


文庫

あがり

著者:松崎有理

出版社:東京創元社 

あがり


 人間って何にでもときめく、恋をすることができます。

 異性どころか、あらゆる生物、生きてもいないものたちや、風景や場所、音楽や絵、かたちのないものや想像の中にしかないものにまで。

 地面に向かって真っ直ぐ立っていたつもりが、急に斜めに引き寄せられてしまいます。それは自分でもあまりに急で強い力なので、立ち眩みかと思うくらいです。


 この本には、そんな引き寄せられる力が、いろんな方向に、あらゆるものに向かってやじるしのようにあちこち引っ張られています。


 大学の研究室が舞台になっている物語です。
 物理、化学さっぱりわからんちんですが、まったく気にならずに読めました。


 ミクラのいたいけな痛々しさが気になってたまりません。
 引き寄せられる力には強く反応するくせに、こころ自体はあきれるくらいにぶい奴らばかり出てきます。

 文系の人間からすると歯がゆくてたまらないのだけれど、すごく可愛くも見えてきます。


 これが理系男子、女子なのかぁ・・・。


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