おすすめの本RECOMMEND
いつか読書をする人へ
井上いつかがおすすめする本です。
啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?
2015/05/09 更新
いつか読書をする人へ
井上いつかがおすすめする本です。
フィクション
デブを捨てに
著者:平山夢明
出版社:文藝春秋
これだけのおぞましさ、汚ならしさが詰め込まれているのに、この本はいくら読んでもちっとも気分が悪くなりません。
この人の本を最初に読んだ時、妊娠中だったせいかもしれません。
小さな刃物の先でひと突きするだけであらわになる自分の皮膚の内側のどろどろに気づかされてしまいました。
お腹の中でぼこぼこ動く生き物の感触に、自分の内臓の在りかを実感させられて、色々なものへの生理的な嫌悪感が薄れてしまったような気がします。
読んでいて、臭いや痛みを感じるけれど、血や肉を前より恐く思わない。
最悪の場所から始まる物語たちは、最後まで本当に救われません。なのに、なぜかこのドログチャの中に何かスカッとするような、キュンとくるようなものが一瞬見えるような気がしてしまいます。
絶対に見間違えで、そこに宝石はないのに。
夫に、どんな本か聞かれて大変に困りました。
とりあえず、ゲロが出てくる旨を伝えておきます。
…すっっごく面白かったんだけどなぁ。人にお薦めしづらい短編集です。
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