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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2015/09/27 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


ノンフィクション

職業としての小説家

著者:村上春樹

出版社:スイッチ・パブリッシング

職業としての小説家

初めて村上春樹を読んだのは15歳の頃。レキシントンの幽霊でした。
今まで読んでいた児童文学と同じように、物語に現れる不思議なものたちを、ファンタジーやSFの仕掛けと同じようにそのままの意味で読んでしまっていました。
なにかの例えやメタファーだなどと考えもせずに。
なんて面白い不思議な物語なんだ!と、やたらにわくわくしたのを覚えています。

それから何冊か読み、ねじまき鳥クロニクルを読んでいる時に急に気がついてびっくりしました。
今読んでいるページにいる女の子はわたしと同じ年で、わたしと同じ苦しみを感じていて、今わたしが浴びているのと同じ月の光を浴びている。
その子が今、この本の中でわたしの代わりに泣いてくれている。

物語を読むのは、疑似体験だと思っていました。
自分以外の誰かの、行ったことのない冒険を自分のもののように感じられる装置だと。

物語の方が、なんの面白味もない、なんの変鉄もないけれど、わたしだけのオリジナルな痛みに寄り添ってくれた。思い込みかも知れないけれど。
すごく嬉しくて、大好きな小説家になりました。
わたしと年齢も性別も、何もかもが遠く離れた人と、ちょっとでも、気のせいでも気持ちが通じ会えた。
もっと周りの人達とも、わかり合えるよう努力したいと一歩前に出る勇気が出ました。

この本は、村上春樹さんがどうやって小説を書き、小説家であり続けてきたを書いたものです。

物語をどうやって作るのか。なんだか人生の歩き方について助言してもらえたような晴れやかな気持ちになれる本です。

教えてもらったって、思い通りに行ける道ではないけれど、ルート攻略や順路じゃなくてどんな覚悟で、どんなゴールを目指すのか、歩く姿勢だけでもかっこよく行ってみたい。

この本を参考に頑張ります!!




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