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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2017/01/06 更新

いつか読書をする人へ


井上いつかがおすすめする本です。


フィクション

洞窟で待っていた

著者:松崎有理

出版社:岩崎書店

洞窟で待っていた

 初日の出を初めて見ました。

 36年のうちの1回目です。

 息子のお気に入りのプラネタリウムに一緒に行ったおばあちゃんは、今回が初めてだったそうです。

 何歳になっても、初めてのことが果てしなくあるんだなあ、これからも楽しい初めてに気付くことができますように。

 「どうくつの好きなアジマとコマキがいてね、6年生のイーダがね、」
 急に息子に話しかけられて、その内容に動揺してしまいました。
 それ、わたしの本!わたしより先に読んで話さないで!

 慌ててこっそり先に読み終えて、一生懸命読み進めては、内容を説明してくれる息子の話を余裕で聞いています。
 お母さんはどこまで読んだ?と聞かれたので、おんなじ所くらいまでかな、と答えて、物語の細かいシーンや、好きなところ、びっくりしたところなどを話し合っています。
 読んだ本の話をする仲間がいるって…楽しい!!

 この物語の主人公たち、アジマやコマキやイーダのように、自分の大好きなものを見つけて、それを一緒に楽しめる仲間が、この子にもできますように。
 流行りのアニメに興味がなくても、ぬいぐるみやかわいいもの集めが好きでも、人より苦手なものが多くても。
 洞窟が大好きなアジマと、穴堀りが大好きなコマキが、毎日二人で楽しんでいて、転校してきたイーダと仲良くなろうとするのが、これから初めてのことが目白押しであろう息子と重なって見えて楽しみと心配で、どきどきする物語になってしまいました。

 もうしばらくは、きみの冒険にわたしも付き合うからね。
 

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