おすすめの本RECOMMEND
いつか読書をする人へ
井上いつかがおすすめする本です。
啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?
2017/02/28 更新
いつか読書をする人へ
井上いつかがおすすめする本です。
フィクション
騎士団長殺し 第1部,第2部
著者:村上春樹
この間から、夫がわたしの逆鱗を最高にこちょこちょしやがる。
「おもしろかった?」
返答できないでいるとさらに言う。
「なに、おもしろくなかった?」
あのねぇ!!だから!!おもしろいとかおもしろくないじゃなくて!もおおおぉぉっ!!
先程まで2時間近く、食事を摂りテレビを見、風呂に入り、紅茶を入れる夫に延々と騎士団長殺しについて話していたので大変疲れました。なにしろ彼はねじまき鳥クロニクルも読んでいないのでまずそこから説明せねばならず、まだあと倍は時間が必要なのですが、途中から相槌も打たずに寝室に引き上げられてしまいました。
自分が!感想を!求めたくせにいいぃぃっ!!
ここに端的な感想を書くことはもちろん無理です。
読み終えた後も考え過ぎて果てしなく首が傾げてしまいます。
わからない!の渦巻きがわたしをダイソンばりの吸引力で引っ張り続けます。
読んでいる間の次が気になってどんどんページをめくってしまう引っ張り込まれる力もすごかった。
ストーリーやわからないところを返事もくれぬ人に、王様の耳はロバの耳よろしく喋り続けていると、物語の中の気に入ったところ、好きな登場人物、美しい風景がじんわりと心のなかに染み込んできたのを感じました。
今2周目を読み始めています。この本は、いったい何回読み返すことになるだろう。
この本を見た息子が
「だれか殺されるの?」
…だからあああぁぁっ!そんな簡単に聞かないでっ!
わたしはハルキストではありません。
はるっきー、もしくは村上主義者、と呼んでください。