おすすめの本RECOMMEND
いつか読書をする人へ
井上いつかがおすすめする本です。
啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?
2018/03/14 更新
いつか読書をする人へ
井上いつかがおすすめする本です。
フィクション
かがみの孤城
著者:辻村深月
出版社:ポプラ社
とっくに大人になってしまった今も、この時期は好きで、嫌いだ。
大人になるためには、子どもの時間を抜けていくしか道はない。
学校と、家が世界の全てだったあの頃。
もう必死で読みました。
全身全霊で、有らん限りの力を振り絞って。
開いた本の中に、十三歳のわたしが深く、落ち込んでいて。
深い穴の底をのぞき込むようにこの本を読みながら、びっくりするくらい涙が出ました。
苦しくて、悲しくて、つらくてつらくて、でも絶対に忘れたくないしあわせなあの時間。
春になっても、どこにも行けない苦しい気持ちにならなくってもいいのだと気がつきました。
どこへ行っても、何をしても、わたしの自由だ。
でも、春を恐れるわたしを忘れずに生きていきたいです。