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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


2021/03/24 更新

いつか読書をする人へ


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フィクション

おもろい以外いらんねん

著者:大前 粟生

出版社:河出書房新社

おもろい以外いらんねん

 笑う、のは人間だけ。
 笑い。ってなんなのだろう。

 漫才の賞レースを、膝を正して見る。手に汗を握っている。感動して涙ぐむ。
 そんな風にお笑い番組と向き合う人間を初めてみた…そして15年も傍で見てるけど相変わらず不可解。

 まぁ、相手も、踊りながら読んだり、本に噛みあとつけたりしているの不可解。と思っているだろうけど。

 高校でお笑いコンビを組んだタッキーとユウキ。二人をみているタッキーの親友、咲太。そして10年が経ち、2020年がやってきた。
 この10年で、お笑いやエンタメはずいぶん変わりました。コロナでさらに制限や変化があった。SNSも様々な形があって、漫才、コント、トーク、ギャグ、なんて形を取らないものもたくさんある。人を笑わせようとして、相手が笑えばそれはお笑いなんだろう、たぶん。
 その逆、これはお笑いだよって相手が言ってても相手が笑えなければ、黙ったり傷ついたりしたらそれはなんだろう。

 お笑いは、研ぎ澄まされた刃だから。世間や社会や価値観を鋭く断つのが芸人の才能と技だから。なまくらになった笑いは面白くない。ほんとうにそうだろうか。
 冗談よぉ~!ノリだよ。空気読もうよ。
そんな風に言われても一緒には笑ってあげられない「お笑い」がたまにあるよ。

 刃を研いで研いで研ぎすまして、繊細な針で誰も見たことのない模様を縫い上げる、その人だけの世界を構築するようなお笑いが好きです。

 お笑いは叩かれて委縮しているんじゃない、「おもろい」以外の不純なものをそぎ落として進化していっている途中。より自由になるために。

 そんなのがもっともっと見たいな。

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