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本さえあれば、日日平安

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長迫正敏がおすすめする本です。


本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!

2009/04/20 更新

本さえあれば、日日平安


長迫正敏がおすすめする本です。


コミック

めぞん一刻

著者:高橋留美子

出版社:小学館

めぞん一刻

珍しい話ではありませんが、わが家は姉さん女房です。
今はお互いにいい歳なのであまり差は感じませんが、子どもの頃に見ていたTVドラマや憧れのアイドル、夢中になって読んだマンガなどの話になると、男女の違いを抜きにしても年齢差を感じることがあります。

遡って考えれば、私が半ズボンにランドセルで仮面ライダーに憧れる小学生だった時、彼女は家庭教師の医大生に憧れる高校生でしたので、その差を感じるのは無理もありません。
しかし『主人とは高校の同級生なんですゥ~』と説明して、ごまかしながらも強引に押し通そうとする彼女には、少し無理があります。
『いやいや、学校で見かけたこともないし・・・』と心の中でツッコミはいれても、彼女を止める勇気はありません。無言で佇んでいる私に向かって『そうよねー』と笑顔で振り向く彼女は、眼が笑っていないから・・・。

『めぞん一刻』は1980年代の初めに『ビックコミックスピリッツ』に連載されていた、ラブコメディ漫画です。もう30年近く前の作品ですが、ドラマやアニメになっており、ワイド版や文庫版と現在も形を変えながら定番として棚に残っています。

主人公の大学生(連載当初は浪人生)・五代裕作の住む「一刻館」に、若く美人の管理人・音無響子がやってきたことから始まるストーリーは、説明する必要も無いほど有名です。
連載当時、ちょうど主人公と同じ大学生だった私は、地方から都会に出てきたところや優柔不断なところ、妄想癖があるところなど、自分に似ていると感情移入をしながら欠かさず読んでいました。
そして年上の女性に憧れる主人公の姿に自分を重ね、いつしか同じような憧れを持つのですから、若かったとはいえ単純です。

また同時期に連載されていた作品に、『ぼっけもん』岩重孝・著がありました。こちらも地方(鹿児島)からでてきた若者の青春を描いた作品です。
主人公・浅井義男はアルバイト先で、運命の女性・秋元加奈子と出会います。女性に対し不器用なところは『めぞん一刻』と同じですが、もっと泥臭くてリアルな、等身大の若者が描かれていました。
主人公のアルバイト先は書店です。実際に書店に勤務されていた著者が描くその仕事に、働く姿に、単純な私は憧れを持ちました。

この2つの作品を愛読していた私は、“将来は書店に勤めて年上の嫁さんをもらう!”と具体的ですが、かなり妄想が入った夢を描いていました。
漫画に影響された人生と言えば大袈裟ですが、人間強く願えば叶うものです。夢は現実となり、現在に至っています。

しかし、『そうよねー』と笑ってはいない眼で見詰められると、“憧れで終わらせていたら今頃は”、“もしかしてその方が”、などの思いが、フッと頭の片隅をよぎります。
でもお互い様です。奥さんからは、『出来の悪い弟を持った気分・・・』と、漫画と同じセリフを何度も言われています。
まあ、人生色々です。

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