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本さえあれば、日日平安

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長迫正敏がおすすめする本です。


本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!

2009/09/23 更新

本さえあれば、日日平安


長迫正敏がおすすめする本です。


文庫

ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 論語

著者:加地伸行

出版社:角川学芸出版

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ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 論語

私たち啓文社のスタッフは、お客様からのご質問を「お問い合せ票」というメモ紙に記録しています。“トイレの場所”や“一番近いコンビニ”を尋ねられたという記入もありますが、もちろんお探しの本についてのご質問が大半を占めます。
ダイレクトに著者・書名を言われる方から、“今朝、TVで紹介していた”、“先週の○○新聞に広告があった”という、それでも比較的に探しやすいもの、“ひまわり畑から犬が顔を出している表紙”、“何処だったか他の本屋で見かけた、このぐらいの大きさで黄色、いやオレンジだったか・・・”など様々です。

お客様のご質問から調べて分かったこと、分からなかったこと。そのお問い合わせを受けた1人だけでなく皆で情報を共有しておけば、次に同様のお問い合わせを受けた時に役立ちます。そして、これから話題になりそうな本の情報もいち早く知ることが出来、仕入れに反映できます。

そのお問い合せ票で、『論語』という題名を頻繁に見るようになりました。中国の古典の『論語』です。確かにTV番組やビジネス雑誌で特集を組まれていたり、高校生向けに書かれた解釈本がロングセラーになっていたり、静かなブームが続いています。
『論語』で検索すると多くの出版社から、文庫、新書、人文書、児童書と色々なタイプの『論語』が発行されていることが分かります。お問い合わせの度にそれぞれの棚を巡りながらご案内し、あるいは数冊棚から抜き出してご紹介していました。

お問い合せ票を見たあるスタッフから、『別々の棚に分かれている「論語」をまとめてコーナーを作りましょう!』という提案がありました。その後、『論語』をお探しの方には、迷わずそのコーナーにご案内するだけで済むようになりました。

『子曰く、学びて思わざれば、則(すなわ)ち罔(くら)し。思いて学ばざれば、則(すなわ)ち殆(あやう)し。』
― 老先生の教え。知識や情報をたくさん得ても思考しなければ、どう生かせばいいのか分からない。逆に、思考するばかりで知識や情報が無ければ独善的になってしまう。 ―

また『論語』のお問い合わせがあり得意顔でコーナーにご案内したところ、更に次の質問を受けしました。“初めて『論語』を読むのだけど、この中でどれがおすすめ?”。
コーナーにご案内は出来ても、『論語』について何も語ることは出来ませんでした。

『子曰く、由よ、女(なんじ)に之(これ)を知るを誨(おし)えんか。之を知るは之を知ると為(な)し、知らざるは知らずと為す、是 知るなり。』
― 老先生の講義。「由君よ、君に〈知る〉とは何か、教えよう。知っていることは知っているとし、知らないことは正直に知らないとする。それが真に〈知る〉ということなのだ。 ―

『論語』を知るため何か1冊読まなければと思い、そのコーナーに揃えた本の中から選んだのが本書です。著者が「はじめに」で書かれていますが、“祖父が孫に語るように、中学生に古典を語るように”綴られている本書は、まさにビギナーズ向けの1冊です。
そして「あとがき」に書かれている、“中学生に分かるように書けなければ、実は私自身がまだ十分に理解できていない証拠と大いなる反省をし、非常な勉強になった。”の言葉に、中国古典の奥深さと魅力を感じます。

『子曰く、故きを温めて新しきを知る。以(もっ)て師(し)為(た)る可(べ)し。』
― 老先生の教え。古人の書物に習熟して、そこから現代に応用できるものを知る。そういう人こそ人々の師となる資格がある。 ―

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