伝説のアイドル・山口百恵と同じく結婚を機に仕事を辞めた妻は、かつて同じ店で働いていた書店員で文庫を担当していました。仕事を辞めて随分経ちますが、今でも書店に行くとつい本の乱れを直したり、巻数を正しく並べ替えたりするようです。

　そんな妻が私の勤めるコア神辺店で目にして気に入ったのが、文庫のランキングでした。通常売上げランキングは１位から５位とか１０位くらいまでですが、当店では２０位まで表示しています。少しでも多くの本の表紙を見せ、目に付きやすい形で紹介したいという担当者の気持ちの表れです。
　何といっても本を購入する動機で一番多いのが“店頭で見て”なのですから、力が入ります。

　もちろん、様々な賞の受賞作や映画化作品、TVで紹介された本がベストセラーになり大量に売れていくのは有り難いことです。一方で自ら選び、おススメのコメントを考え、ＰＯＰを駆使して、手にとって貰える様に工夫を凝らした本が売れていくのは、また格別の嬉しさがあります。
　更にその本がコツコツ、ジワジワと長期間売れ続け、たとえ上位が入れ替わってもランキングにしっかり留まっている姿は頼もしくもあります。

　本書『ネコの気持ちがおもしろいほどわかる本』は、そんなコツコツ売れている本の代表です。発売されて１年以上経ちますが、週によってはベスト１０にも入ります。
　ネコの気持ちなら全部わかっていると自負している愛猫家でも、ふと見せるしぐさに疑問を感じることがあるようです。例えば背中をなでているとシッポを揺らすのを見て、「喜んでくれている」と思っていませんか。本書を読めば、ネコのしぐさにどんな気持ちが隠れているかがわかります。
　また姉妹編に『イヌの気持ちがおもしろいほどわかる本』があります。こちらも、コツコツ、ジワジワ売れているロングセラーです。

　イヌ好きだと思っていた妻が、実はネコの方が好きだったと本書を話題にして知りました。なるほど、どんな気持ちが隠れているのかわからないものです。
　そういえば、天邪鬼な性格の妻は、ベストセラーよりもランキング１０位以下の本を好む傾向にあります。そんな妻に夫として選ばれた私は、彼女のランキングでは１０位以下だったのでしょうか・・・。はなはだ疑問が残ります。