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本さえあれば、日日平安

本さえあれば、日日平安

長迫正敏がおすすめする本です。


本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!

2010/08/03 更新

本さえあれば、日日平安


長迫正敏がおすすめする本です。


文庫

GO

著者:金城一紀

出版社:角川書店

GO

中学生の長男の身長が伸び、母親と長女の背丈を超えた。まだ大きな差はないけど、それでも家族内の関係が少し変わってきた。長男の2人に対する言葉遣いがこれまでと違う。幼い頃の彼を想うと驚きだ。いつの間にか生意気で乱暴な物言いになっている。
誰もが通り過ぎる、あの季節である。むしろ遅いぐらいに思う。成長の証と受け止められるが、一緒にいる時間が長い者は当然カチンとくる。「お父さん、何か言ってやって!」と奥さんから依頼。
私が教えられることは、一つだけ。

誰にも話せない悩み、どうしようもない不安、理由もなくイライラする気持ちを、他人や物にぶつけてはいけない。もちろん、自分に向けてもいけない。
その感情は、何かを傷つけることでは解消できない。自分の中で湧き上がる厄介な気持ちは、自分の中で変えていくしかないのだ。

そんな時は、ただ黙々と本を読む。

無理に何かを感じ取ろうとしなくてもいい。面白くなければ途中で投げ出してもかまわない。読んだことで得をしたとか、つまらなくて時間やお金が無駄だったとか、損得は考えない。もちろん読んだ本の数を競ったり、誰かに自慢する必要もない。
自分がのめり込める作品にぶち当たるまで、ただひたすらに読むのだ。

「にぎやかな家族小説であり、胸キュンの恋愛小説であり、静かで鮮やかな友情小説であり、そして差別という重い現実の中で彷徨する少年の軽快な青春小説。一つ一つのエピソードは、切なく、悲しくて、でも、この小説は、爽やかで明るい。」
― 啓文社×角川文庫 選者:商品部 児玉憲宗 ―

暑さも空腹も寝ることさえ忘れて読んでしまう。そんな本と巡り会うことができる。15歳の夏は一度だけなのだ。

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