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本さえあれば、日日平安
長迫正敏がおすすめする本です。
本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!
2011/07/10 更新
本さえあれば、日日平安
長迫正敏がおすすめする本です。
ノンフィクション
働く君に贈る25の言葉
著者:佐々木常夫
出版社:WAVE出版
妻が車で出かけている雨の日、たまたま私が休日。働き始めた娘から、職場までの送迎を依頼されることがあります。
彼女の職場は車で15分足らずの場所にありますが、新人なので遅刻させてはいけないと思い1時間前から出かけようとする私。いくらなんでも早すぎると文句を言う娘。いやいや何事も早め早めに準備するのが社会人の務めと(自分のことは棚に上げ)急かす私。送ってくれるのだからと渋々準備を始める娘。
ちょっと険悪な空気が2人の間を流れます。
もちろん終業時刻より早めに迎えに行きます。彼女の勤め先は小売業なので、店内に入ると娘の働いている姿が見られます。見たいような、でも怖いような、車内であれこれ思案している間に閉店時刻になってしまいました。
せっかくのチャンスだったのに・・・、優柔不断な自分に向け「バカ」とツッコミを入れていると、雨の中、傘もささずに娘が出てきました。閉店時間となり、駐車場の入口を閉鎖しているようでした。教えられた手順を間違えないよう、確認している様子がうかがえます。
それが初めて見る、娘の働く姿でした。ただそれだけのこと、何でもないことですが、ウルッとしたのは言うまでもありません。本当に「バカ」な親です。
やがて、「お待たせ!」と言い娘が車に乗り込みます。すぐに鞄からケータイを取り出して・・・なら今どきの女の子ですが、まるで小学生が学校での出来事を親に話すように、店での出来事を面白そうに話し始めます。今日出会ったチョ~個性的なお客さんや同僚とのやり取り、店長に叱られたこと。
閉店準備をしているところを見て話を聞いただけですが、なんだか安心しました。
何か気の利いたコメントを言わなければと考えましたが、「先輩に教えてもらったらメモを取って、教えてもらったお礼を言うこと」、とありきたりのことしか伝えられませんでした。
でも家に帰ったら、『働く君に贈る25の言葉』をさりげなく渡そう。そう決めていました。
― 仕事をする上では強さが必要です。困難な仕事を成し遂げる「粘り強さ」、失敗しても叩かれても立ち上がる「芯の強さ」、ときには自説を押し通す「気の強さ」も必要でしょう。しかし、強さだけでは幸せになることはできません。強さの根底に優しさがなければ、幸せになることはできないのです。 ―
本書は若いビジネスマン向けに、著者がこれまでの人生のなかでつかみ取ってきた、幸せに働き、幸せに生きるための「エッセンス」をまとめた1冊です。今年社会人になったばかりの甥、「遼君」(仮名)に向けた手紙という形で書かれていますが、決してそれだけに留まりません。
働いている人だけでなく、今を生きているすべての人に贈りたい1冊です。