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本さえあれば、日日平安

本さえあれば、日日平安

長迫正敏がおすすめする本です。


本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!

2011/08/01 更新

本さえあれば、日日平安


長迫正敏がおすすめする本です。


フィクション

びゅんびゅんごまがまわったら

著者:宮川ひろ・作林明子・絵

出版社:童心社

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びゅんびゅんごまがまわったら

「お父さんは地味に負けず嫌いじゃね~」と娘に言われた。
確かに派手ではない。地味だ。それは認める。
「マスオさんみたい」だとか、「人畜無害」とか言われてきた。
でも最近は癒し系とか、ゆるキャラとかが流行、実は風向きが変わってきているのだ。ひょっとしたら、これが噂のモテ期なのか?と思える事柄がチラホラと起こっているのだ。
娘は知らないだろう、やっと時代が私に追いついたのだ。

それに負けず嫌いなところは誰もが持っているのだ。そこには、やる気スイッチがある。だから、自分の中の負けず嫌いを、刺激し続けなければならないのだ。


きっかけは一年生のこうすけがケガをしたことでした。霜で凍っていた一本橋から落ちてしまったのです。その為、運動場から続く自然の遊び場に入る扉には、鍵がかけられてしまいました。
子どもたちは新しい校長先生にお願いに行きました。
「あそびばの かぎを あけてください」
校長先生は意地悪そうな顔をして言いました。
「せんせいは あまのじゃくだからね たのまれると あけてやりたくなくなるのさ。」
そして、子どもたちにびゅんびゅんごまを渡しながら言いました。
「まわせるようになったら、たのみも きこうじゃないか。」
1つまわせるようになると、今度は同時に2つ、3つ、そして4つ。校長先生から出される課題は、どんどんレベルアップしていきます。

この校長先生、ただ者ではありません。ニヒルで強面。『龍が如く』に出ていてもおかしくない。そして子ども相手に大人気ないまでの「どや顔」。
この「どや顔」が、子どもたちのやる気スイッチを入れます。根気強く挑戦を続けるもの、自分の得意分野でアピールするもの、子どもたちも負けてはいません。最後には、あの校長先生を・・・。
でも、そんな風に悪役になってまで子どもたちのヤル気を引き出す校長先生。ほんとうは優しい・・・、いや悪役を楽しんでいます。
やはり、ただ者ではありません。

私の時代がやってきた。バラ色の人生が待っている!
一人にやけていると妻と娘の会話が聞こえてくる。
「ねっ、からかうと面白いでしょう、お父さん。反応が単純で」

ただの「いじられキャラ」に過ぎなかった、残念な私。

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