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本さえあれば、日日平安

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長迫正敏がおすすめする本です。


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本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!

2011/09/26 更新

本さえあれば、日日平安


長迫正敏がおすすめする本です。


文庫

奥方様は仕事人

著者:六道 慧

出版社:光文社

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奥方様は仕事人

数年前、小学校の卒業が近い長男の参観日に夫婦で出かけた日のこと。
卒業に向け、それぞれが6年間の思い出を語り、数人のグループで合唱も披露してくれた。手作りの小さな発表会。とても感動的だった。
会が終わりに近づいたとき、司会をしている男子から「それではご出席のお父さん、お母さんからも何か一言、メッセージをお願いします。」という振りが来た。

周囲を見渡す。平日の昼間、父親は私だけ。こ、これは100%の確率で指名される。私のぐたぐたのスピーチで、長男に恥をかかせるわけにはいかない。
「すまん、あとは頼む!」と奥さんに目配せする。「了解!」と奥さんは、さり気なく逃げ道を確保してくれる。間一髪で教室を脱出した。
何時になくスピーディな判断力と実行力。なんでこれが仕事に活かせんかな~、まぁ、そのうちには・・・と自分に言い訳をしていると聞き覚えのある声がした。うちの奥さんがよく通る声で堂々とコメントを述べている。しっかり笑いもとっている。なんて頼もしくて無敵な、いや素敵な女性なのか。
惚れちまうやろー。 

男なら誰もが惚れてしまう、愛らしく、そして凛々しい女性が主人公の時代小説。
定町廻り同心である野村平左衛門の妻、留以(るい)。盆暗(ぼんくら)同心だの、与太郎同心だのと、同僚から嘲られる夫を献身的に支え、姑や小姑との折り合いに四苦八苦する二十歳の奥方様。
だが、小野派一刀流の使い手で剣術小町(やっとうこまち)と称されるほどの腕前を持つ彼女は、幼い頃に両親を夜盗に殺され、復讐心を静かに燃やし続ける別の顔も持っていた。
留以が知り合った菩薩先生と慕われている女医者に、毒入りの薬を処方した嫌疑がかけられる。独自に探索をすすめる留以。信じられるのは誰か、守るべきものは何か。暗い過去が留以を苦しめ、混乱させる。
健気で可愛くて頼もしい、奥方様の活躍から目が離せない。

逃げ出した盆暗な父親、しっかりとスピーチした立派な母親、司会をしていた男子は当然のごとく見ていた。「お前んちのお父ちゃんとお母ちゃんは・・・」、嫌味を言われたと長男。
すまん、息子よ。楽しかった小学校の想い出を台無しに・・・。でも長男は笑顔で続けた。
「うちは、あれで上手くいっているから全然問題ないよ~」って言っといたから。
長男が奥さんに似ていて良かった。

それぞれの役割がはっきりしているから物語は面白いのだ。個人的には、夫、野村平左衛門の今後の活躍に大いに期待している。他人とは思えない親近感を覚える。
ちなみに野村平左衛門の日記には、毎日こう書かれている。

「日々是平安也(ひびこれへいあんなり)」

しっかり者の奥さんあっての毎日。やはり似ていた。

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