おすすめの本RECOMMEND

KEIBUNSHA

本さえあれば、日日平安

本さえあれば、日日平安

長迫正敏がおすすめする本です。


本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!

2012/02/13 更新

本さえあれば、日日平安


長迫正敏がおすすめする本です。


文庫

もう、怒らない

著者:小池龍之介

出版社:幻冬舎

ショッピングサイト
もう、怒らない

妻が怒っている。約束を破ったと怒っている。そう、私は約束した。結婚した時、彼女に3つの誓いを立てたのだ。
「口答えをしない」、「無駄遣いをしない」、「出されたものは全部食う」

最初に破ったのは、「出されたものは全部食う」だった。
妻は自分の作る料理をバクバクと残さずたいらげる、豪快な男子が本当は好きだったらしい。
私はお相撲さんでもラガーマンでもない。小食で痩せっぽちな書店員だ。おまけに腰痛もちで泣き虫だ。でも、そんなことは最初から分っていたはずなのに。
「あなたが残すから、もったいなくて私が食べることになって、そしたらこんなに・・・」と服をめくってみせ、怒る。

次に破ったのは「無駄遣いをしない」だった。
流行っているからと飛びついたが、早すぎた。何も知識がなくて使えなかったパソコン、ウインドウズは3.1だった。20年ぐらい前のことだ。いまならそのお金で何台買えただろうか。
マイルスを聴くつもりだったJBLのスピーカーもそうだ。子どもが生まれてから流れてくるのは、「ぞうさん」、「おもちゃのチャチャチャ」、「北風小僧の寒太郎」となり、やがて歩き始めたわが家の寒太郎によってボコボコにされた。
結局、無駄遣いだと怒られた。

怒るのは、やはり不幸なことだ。妻を不幸にはできない。何とか落ち着かせたい。でも言葉で何とかしようとすると、口答えだと思われてしまうかも知れない。
あることを試すことにした。妻をそっと抱き寄せ、ムツゴロウさんの様に「よ~し、よしよし」と頭を撫でてみた。案外、効果があった。笑ってくれた。

「口答えをしない」は妻との約束の最後の砦だが、あながち間違いではなかったらしい。「もう、怒らない」を読んで確信できた。

本書は小池龍之介が教えてくれる、怒りの毒にまみれた毎日を清々しい日々に変える仏道入門。

好きで怒っている人はいません。心が怒りに染まることで、人は不快になり疲れます。「私は不快になりたいのです」という人はいないでしょう。
でも穏やかな満足感より、不安や怒りの方が遥かに強い刺激を心に刻みつけるので、癖になりやすいのです。
怒りの感情におぼれていると、それ以前に感じていた諸々の嫌なことやストレスが麻痺させられます。ストレスを一時的に感じられなくなることに心が喜びを感じ、「怒ったほうが得だ」と勘違いをします。
怒りは私たちを操り人形のように支配し、心の自由、言葉の自由、体の自由を奪うのです。

もう怒らないと決意し、表に出さないだけでなく、本当に心の中ですら怒らずにすむとき、私たちは本当の心の自由とともに、穏やかに楽しく過ごす幸せを十分に味わえる。

-----------------------------
お買い求めはこちら。

お買い求めはこちら。

おすすめの本一覧へ