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本さえあれば、日日平安

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長迫正敏がおすすめする本です。


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本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!

2015/01/13 更新

本さえあれば、日日平安


長迫正敏がおすすめする本です。


文庫

闇の黒猫 北町奉行所朽木組

著者:野口 卓

出版社:新潮社

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闇の黒猫 北町奉行所朽木組

『闇の黒猫。水際立った手口で大金を奪い去る盗賊は、いつしかその異名で呼ばれていた。腕が立ち、情にも厚い定町廻り同心・朽木勘三郎と、彼に心服する岡っ引きたちは、商家の盗難騒動、茶問屋跡取り息子失踪事件を鮮やかに解き、いよいよ江戸の闇夜に跋扈(ばっこ)する「黒猫」の正体へとせまってゆく。』

付箋を付けながら読んでみた。捕物帳というミステリー。謎解きのヒントと思しき箇所をチェックし、「黒猫は、こいつだ!」と言いたくて。
しかし後で見直すと・・・

― 子供というものは、必ずしも一定の角度で直線的に成長するものではないらしい。不揃いな高さや幅の石段を乗り越えて行くように、ぎくしゃくと揺れ、ときには後退し、道草を喰いながらも、大きくなるものなのだ、と思う。 ―

北町奉行所の定町廻り同心・朽木勘三郎が、息子であり見習いの葉之助に向けるまなざしは、とても温かい。
葉之助は、その日に得た知識や面白い話を、家族に語って聞かせるのを日課としていたが、その時の対応が粋だ。

― 子供は得た知識を人に話すことで、それを確実に自分のものにしてゆく。また考えを整理し、まとめることができる。周りの大人はあれこれ口を挟まずに、黙って聞いてやるのが一番いい。 ―

そんな考え方の両親のもとで、葉之助が素直に伸び伸びと成長している様子が見て取れる。
また、子どもを育てるのと同じように、手下のことも一人一人をちゃんと見て接している。厳しくも情に厚く、経験に裏打ちされた粋な計らいで一人前に育てようとしている。

― 「安も休ませてよかったんじゃねえですか。無駄足を踏ませることになりますぜ」
「いや、あいつは弥太ほど成果があがってねえので、心の内で焦っているはずだ。明日は訊き方を変えるとか、あれこれ工夫するだろうからな。おれもそうやって鍛えられた記憶がある」 ―

付箋を付けていたのは謎解きのヒントではなく、子どもや後輩、手下を育て導く場面や台詞だ。
そして仕事の進め方や個々の技量を考えた仕事の振り分け方、チームのメンバーを一つにまとめる心配りと雰囲気作り。見事なチームワークが羨ましい。こんなチームで仕事をしてみたい。

「いや、こんなチームを作る立場だろうが!」
自分にツッコミを入れながら、付箋は増えていった。

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