おすすめの本RECOMMEND

KEIBUNSHA

本さえあれば、日日平安

本さえあれば、日日平安

長迫正敏がおすすめする本です。


本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!

2018/08/16 更新

本さえあれば、日日平安


長迫正敏がおすすめする本です。


文庫

算法少女

著者:遠藤寛子

出版社:筑摩書房

ショッピングサイト
算法少女

お盆なので実家に帰りました。仕事のため私は行けなかったけど、その前日も帰省中の兄と甥っ子、私の娘や息子、みんなで食事に出かけて楽しかったと奥さんから聞きました。甥っ子の運転する車で行ったようです。
うちの息子は、いまどき珍しいと言っては何ですが、車が好きでマニュアル車に乗っています。やはり従弟です。甥っ子も好きで、車の話で盛り上がったようです。

「それは良かった。」と何のひねりもない感想を述べながら、翌日はそこに私も加わるので、自分のことは棚に上げて「男ばっかりじゃなー」と思っていました。でも、そう考えていると、この時の4人の男子、父、兄、甥っ子、息子には共通点があることに気づきました。全員が長男、全員が理工系(父の農業高校含む)学校卒です。
 
だからでしょうか、翌日、彼らが電動何とかで雑草を刈りながら、Hondaの発電機はどうやらとか仲良く話をしている輪に、私は入ってはいけませんでした。
唯一の文系、ただ一人の次男坊である私は、作業中の長男‘sを遠目に、 日陰に居ながら「暑いけー、もう帰ろうやー」などとヘタレなことを、みんなには聞こえないようにつぶやいているだけでした。

話は変わりますが、私が小学生の頃、学研から『科学』と『学習』という学年誌が出版されていました。『科学』は理科や算数がメインで『学習』は国語と社会の読み物が中心の雑誌でした。
「学研のおばちゃんが家に配達に来た。」という人も多いのでしょうが、私たちの時代は学校に販売に来ていました。わが啓文社も専門の部署がありました。

『科学』と『学習』の両方を買ってもらっている友達もいましたが、わが家では兄が『科学』、私は『学習』を与えられていました。『科学』の実験とか観察、また工作系の付録を喜んだ兄が理系に、『学習』の短編小説集の付録を楽しみにしていた私が文系と、見事に分かれました。
やはり「育てたように子は育つ」のでしょうか。それとも、持って生まれた気質を感じた両親が、それぞれに合った方を買い与えていたのでしょうか。

どちらにしても私は書店員だから文系で良いはず・・・、は通用しません。店頭には建築、土木、機械、電気・電子、コンピューター等の理工系の専門書、天文学、地学、生物学、はたまた医学、薬学、看護・・・、更にそれらの資格試験問題集もあります。
お客様は、「書店員なので、ある程度の内容は理解しているはず」と思われて質問をされます。それに販売実績、経費管理、数字を避けては通れません。どんな仕事に就いても数字に強くないと勤まりません。
今更ですが、小学生の時、兄と同じく『科学』の方にして欲しかったです。お父さん、お母さん!!

『算法少女』 遠藤寛子・著 ちくま学芸文庫

父・千葉桃三から算法の手ほどきを受けていた町娘のあきは、ある日、観音さまに奉納された算額に誤りを見つけ声をあげた・・・。その出来事を聞き及んだ久留米藩主・有馬候は、あきを姫君の算法指南役にしようとするが、騒動がもちあがる。上方算法に対抗心を燃やす関流の実力者・藤田貞資が、あきと同じ年頃の、関流を学ぶ娘と競わせることを画策。はたしてその結果は・・・

数字が苦手な文系の皆さん、めげずに頑張りましょうね。まずは本書で、算数や数学を「学ぶ」楽しさを感じてみてはどうでしょうか。少年少女向きですから読みやすく、ルビも振ってあります。もちろん時代小説の面白さも十分に味わえます。

おすすめの本一覧へ