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本さえあれば、日日平安

本さえあれば、日日平安

長迫正敏がおすすめする本です。


本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!

2018/08/25 更新

本さえあれば、日日平安


長迫正敏がおすすめする本です。


文庫

ノベライズ この世界の片隅に

著者:原作・こうの史代ノベライズ・蒔田陽平

出版社:双葉社

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ノベライズ この世界の片隅に

酷暑のため、エアコンをつけたまま寝ることを推奨された今夏。もちろん、わが家も実践した。しかし各部屋で実行すると電気代がもったいないので、家族みんなで一部屋に集まって寝ることにした。
私と奥さんと息子の国内組、そして台湾から一時帰国中の娘。久しぶりに家族4人が揃い、川の字プラス1のフォーメーションで就寝。
それだけでも嬉しいのに、エアコンがよく効く場所や朝起きる順番などから考慮した結果、私の右サイドに娘が寝ることになった。何だかワクワクした。

修学旅行で女子の部屋に忍び込んだ男子のごとくハイテンションな私は、「中学生でもあるまいし、何を一人で盛り上がっとるんよ~」と笑われた。
でも娘とはいえ26歳の女子が隣に寝ているなんて、私の人生において最初で最後ではないか。これが興奮せずにいらりょうか!
できるだけ長く、娘の隣で寝ていたい。

しかし今は夏、寝たと思ってもすぐ外が明るくなり、朝が来る。至福の時間は、あっという間に終わってしまう。そうでなくても年齢のせいか、嫌でも朝早くに目が覚めてしまう。さらに休日ともなると、何故か普段より2時間も早く目覚める。
「遠足の日の小学生か!まだ寝とけ!」とチコちゃん、ではなく奥さんに叱られる・・・。

それでも奥さんは、子どもたちを起こさないよう静かにコーヒーを淹れてくれる。真ん中で寝ていた私たち2人が抜け、それぞれ部屋の両脇で寝ている娘と息子を交互に眺めながら考えた。
こうして2人の寝顔を同時に見るのは何年振りだろうか?

10年前だと娘が高校生、息子が中学生の頃だ。どんなに暑くても別々の部屋で寝ていた様に思う。15年前だと娘が11歳、息子が8歳なので、2人が仲良く並んで寝ている姿も見られたはず。すると十数年ぶりということになる。

長かったようで、あっという間だった。平凡で何事もなく過ぎていった日々だ。でも、それがどれほど幸せなことか。だからこそ今日があるのだ。

だが、当たり前に、普通に暮らしていくことさえも許されない夏が、この国にはあったことを忘れてはいけない。

「ノベライズ この世界の片隅に」双葉文庫
原作・こうの史代 ノベライズ・蒔田陽平 

すずは広島の江波で生まれた絵が得意な少女。昭和19年、18歳で呉に嫁いだすずは、戦争が世の中の空気を変えていく中、ひとりの主婦として前を向いて生きていく。だが戦争は進み、呉はたびたび空襲に見舞われる。そして昭和20年の夏がやってきた。

今年の夏は平成最後の夏だが、嫁いでいく娘のいるわが家では、この4人で過ごす最後の夏でもあった。
無理はせず、のほほんな感じのままでいい。世界のどこに居てもいいから、穏やかに暮らしてほしいものだ。

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