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本さえあれば、日日平安

本さえあれば、日日平安

長迫正敏がおすすめする本です。


本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!

2018/09/10 更新

本さえあれば、日日平安


長迫正敏がおすすめする本です。


文庫

花だより みをつくし料理帖 特別巻

著者:髙田郁

出版社:角川春樹事務所

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花だより みをつくし料理帖 特別巻

『奥さんがパソコンのプリンターを買ってきた。「安かったのよ!」と嬉しそうだ。「ありがとう」と言ったが何か引っかかる。今あるプリンターは壊れてはいない。機械オンチの奥さん・・・、説明したと思うけど、インクカートリッジを取り換えると、また印刷できるんだよ。3台に増えたプリンターを、しばし見つめる。』

という小ネタをツイッターに投稿したのは、ずいぶんと前のことです。今では奥さんも、スマホとタブレットを使いこなしています。そればかりか、孫たちからiPadをプレゼントされて、使い方が分からず困っていた実家の父の先生役もしています。87歳の父から「LINE始めました。よろしくね💕」とメッセージが届いた時はびっくりしました。

もともと奥さんは決断が速く、行動も速い人です。だからプリンターのようにパッと買ったり、捨てたりすることができます。失敗しても、決してクヨクヨしません。優柔不断で、いつまでも引きずっている私とは真逆の性格です。
奥さんの血液型はB型なので、彼女の性格を「そのせいかもね。」と何気なく言ったら、虫の居所が悪かったのか「関係ない!」とピシャっと言い返されました。A型の私は、それだけでシュンとしてしまいます。
子どもたちはその時々により、私の味方になったり奥さんの方についたり変幻自在です。さすが2人ともAB型です。

言い争いをしても、口が達者な奥さんに勝てるわけがありません。吞めないので、お酒に逃げることもできません。いじけた私ができるのは、プチ家出をすることだけです。足が向くのは、やはり書店です。無意識のうちに時代小説の棚前に立っています。
書店で私を見かけても、「また奥さんに何か言われたんだろうな~」、「時代小説に癒されたいんだろうな~」と思って頂き、そっとしておいて下さい。

シリーズ完結から四年、登場人物たちのその後の奮闘と幸せとを料理がつなぐ特別巻。
『花だより みをつくし料理帖 特別巻』  髙田郁・著 ハルキ文庫

最初の「花だよりー愛し浅蜊佃煮」では、澪は種市の夢の中とか思い浮かべるという形でしか登場しなかったため、最後までこんな感じで、澪が直接は出てこないスピンオフの物語かな?残念・・・と思っていました。もちろん、そんなことはありません。大トリでした。

そう言っておきながら何ですが、個人的には「涼風ありーその名は岡太夫」が好きです。澪のかつての想いびと、御膳奉行の小野寺数馬とその妻・乙緒。
「とにかく変わっている」、「何を考えているのか、よくわからない」、「能面のようだ」といわれている乙緒。でも、「あれは大層、面白い女房殿だ」という夫の数馬。とてもいいご夫婦です。そして、弥三郎と早帆のご夫婦も(笑)。姑の里津さんとのエピソードは素敵でした。クスッと笑わせてほろっと泣ける、いずれも「時代小説ならでは」の味わいです。
また、髙田郁さんの描く夫婦の物語として、同じハルキ文庫から出ています『あい 永遠に在り』という作品がおすすめです。こちらもぜひ読んでみてください。

味噌汁を作り、「お義父さん、どうですか足の具合は?」と、一人暮らしの父のところへ行ってくれる奥さん。本当に感謝しています。

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