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本さえあれば、日日平安
長迫正敏がおすすめする本です。
本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!
2018/11/22 更新
本さえあれば、日日平安
長迫正敏がおすすめする本です。
文庫
シロクマのことだけは考えるな!人生が急にオモシロくなる心理術
著者:植木理恵
出版社:新潮社
娘から電話があった。改まった口調だったので何事かと思った。披露宴の最後に挨拶して欲しいと言うのだ。一瞬耳を疑った。
それは新郎の父親がするものではないのか?新婦の父親は、花束を渡されて娘が読む手紙で号泣する、それが私の役目だと思っていた。やはり日本と台湾は違うのか。そもそも披露宴ではなく、パーティだそうだ。娘よ、お父さんをパーティーピーポーにするつもりか!
娘からの手紙はない、でも私の挨拶はある。一気に娘の結婚が憂鬱になった。親父版マリッジブルーだ。
私の苦手なもの2トップ、それがお酒とスピーチだ。もちろん、どちらも披露宴には欠かせない。だから私自身が結婚したときは披露宴をしなかった。ジミ婚というものだ。両家の親や親戚に「何でせんのか!」と言われた。でも奥さんだけは、「それでいいですよ。」と優しく微笑んでくれた。私の性格を理解して、わがままを許してくれる。なんて気立てのいい女性なのかと感激したのを覚えている。
あの頃は奥さんも素直で、私に従ってくれていたのだ。でも女の人は結婚したら性格が変わる。いや本当の姿を隠しているのだ。角隠しとはよく言ったものだ。白無垢姿でも、「あなたの色に染まります」、なんてことは思っていない。
娘はドレスだから角隠しも白無垢でもないけど、娘の旦那には結婚の現実を教えてあげないといけない。義理とはいえ父親だから。
『お父さんは文章を書くのが上手だから、原稿を用意して読んだらいいよ。』と娘は簡単に言うが、それとこれとは大きく違う。どうしたものかと悩んでいたら、以前勤めていた店で同僚だった女性から、娘への結婚のお祝いの言葉と一緒に「この歌を贈ります。YouTubeで見てね。」とメッセージが届いた。
それは、Kの「桐箪笥のうた」だった。結婚式で花嫁が贈る手紙へのアンサーソングとも言えるウェデイングソングの新定番、とあった。父親の気持ちが痛いほどよくわかる。ウルウルしながら見た。何度も繰り返して見た。
途中でSTU48も見たけど…
かっこ悪い親父のままでいいと感じ、ちょっとだけ気が楽になった。
『シロクマのことだけは考えるな!人生が急にオモシロくなる心理術』
植木理恵・著 新潮文庫
アメリカで行われている「シロクマ実験」と呼ばれる認知研究・記憶研究。シロクマのことを「考えまい」という努力を強いると、かえって「シロクマ」の姿が脳裏にチラつく。つまり、何かをうまくやろうと気張ることで、逆に失敗率のほうが高まってしまう。例えば「幸せになりたい!」と熱心に努力している人よりも、自分に甘くてイイカゲンな人のほうが、人生をオモシロおかしく謳歌していたりする。
なるほどと感じるが、じゃあ、どうしたらいいのか?どんな行動をとるのが正解なのか?と疑問を持った人は、ぜひ本書を読んでみてください。性格は、必ず自分で変えられます。性格が変われば、人生の持つ「色合い」が変わります。心のありようでブラックにもオレンジにもブルーにも、どんどん彩を変えていけるのです。
このコラムの内容を少し変えてスピーチにしてみようかと考えたら、ブルーな気持ちがオレンジになった。