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本さえあれば、日日平安
長迫正敏がおすすめする本です。
本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!
2019/01/05 更新
本さえあれば、日日平安
長迫正敏がおすすめする本です。
フィクション
トラペジウム
著者:高山一実
出版社:KADOKAWA
吾輩はお父さんである。名前はもちろんある。でもお父さんと呼ばれている。子どもたちからだけでなく、色んな人からそう呼ばれている。
奥さんからは「ちょっと、お父さん!ぼーっとしとらんで掃除手伝ってよ!」と言われ、たまに実家の父からも「お父さん」と呼ばれるからややこしい。
以前店のスタッフから、「お父さん、あっ、間違えた!店長、N販さんからお電話です。」と言われたことがある。たぶん彼女のお父さんは、私といい勝負のイケメンに違いない。
最近では、娘の友達からお父さんと呼ばれている。台湾で行われた娘の結婚式に出席してくれた彼女たちは、私のことをお父さんと呼んで仲良くしてくれている。
夜市に一緒に行った時、「お父さん、これ美味しいですよ。食べます?」とか「お父さん!お父さん!ここ入って下さい、みんなで写真撮りますよ~」と実の娘以上に親しみを込めてお父さんと呼んでくれた。
もちろん娘の友達のことは以前から知っている。中には3歳くらいから知っている子もいる。娘が高校生の時、よく遊びに来てくれたMちゃんもいる。可愛くて、明るくて、しっかりしていて、とても気立てのいいお嬢さんだ。何度かお泊りにも来た。こんな良いことがあるのだ、娘がいると。
彼女は、このコラムを読み「お父さん面白い!」とブックマークまでしてくれている。
彼女たちと台湾で何日か一緒に過ごして一番驚いたのは、とにかくよく食べることだ。そして常にしゃべっている。みんなで手をつなぎ歌って踊ることもある。アイドルグループを見ているようだ。たまに静かな時は寝ている。
彼女たちの一日は、食べる、しゃべる、寝る、で構成されている。しゃべりながら食べている、寝ながら食べていることだってある。四六時中、何かしら食べている。
でもそんな彼女たちを見ていると、幸せな気分になれる。日本の将来は明るいと感じられる。彼女たちが元気でいる限り日本は大丈夫だ。
日本にはアイドルが必要なのだ。
『トラペジウム』 高山一実・著 KADOKAWA
乃木坂46から初の小説家デビュー!現役トップアイドルが、アイドルを目指すある女の子の10年間を描いた感動の青春小説!
高校1年生の東ゆうは「絶対にアイドルになる」ため、己に4箇条を課して高校生活を送っていた。「SNSはやらない」「彼氏は作らない」「学校では目立たない」「東西南北の美少女を仲間にする」……?
努力の末、ついに東西南北の“輝く星たち”を仲間にした東が、高校生活をかけて追いかけた夢の結末とは!?
「これは一つの青春の終わりから、次の青春へ向かう物語」
――中村文則 小説家
「時折あらわれる、鋭い“いじわる”表現が良い」
――羽田圭介 小説家