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本さえあれば、日日平安
長迫正敏がおすすめする本です。
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本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!
2019/03/09 更新
本さえあれば、日日平安
長迫正敏がおすすめする本です。
文庫
カフーを待ちわびて
著者:原田マハ
出版社:宝島社
これは奥さんからのまた聞きですが、台湾に住む娘に最近起きた出来事です。
台湾は国土面積が九州ぐらいで、住宅は横に広く取れないため縦に延びて3、4階建が多く、娘夫婦が借りている家も4階建てです。
4階のベランダで洗濯物を干し終えた娘は、いざ家の中に戻ろうとした時に、閉まっているドアを見てある問題が起きたことに気づきました。実はベランダに出るドアは壊れていて、家の内側からは開くのですが、ベランダ側からは開かなかったのです。
その時、旦那は仕事に行っており家には彼女一人だけでした。要するに自分で自分を締め出してしまっていたのでした。
幸いなことにお隣の家とは建物自体が繋がっており、それほど離れてはいません。救いを求めて呼びかけたところ、お隣のおじさんが返事をしてくれました。状況を説明して、とりあえずおじさんのスマホを借りて旦那と連絡を取ることにしましたが、今度はスマホをどのようにして渡してもらうかが問題となりました。
おじさんの発案で、柄のついた網(魚釣りのたも網や虫取り網のような)にスマホを入れて渡してもらうことにしました。その方法で無事にスマホを借りることができて旦那と連絡は取れたものの、仕事から帰ってくるのはまだ数時間後、夜遅くなってからです。
季節は冬です。もしも北国だったらレスキュー隊に出動依頼するところですが、そこは台湾。2月の平均気温は16℃から20℃、最低気温でも14℃くらい。さすがに夜は肌寒くなりますが、それでもしばらく外で過ごせないこともありません。
ここで旦那の帰りを待つしかないと落ち着きを取り戻した頃、再度登場してくれたのが隣のおじさんでした。お腹がすいているのではと娘を気遣って下さり、例の網を使ってお菓子やら飲み物を差し入れてくれたそうです。なんとも優しい台湾のおじさんです。
「カフーを待ちわびて」 原田マハ 宝島社文庫
沖縄の与那喜島に住む明青(あきお)のもとに手紙が届く。「私をあなたのお嫁さんにしてくださいますか。」 確かに明青は「嫁に来ないか。」と絵馬に願いを書いた。でもこれは誰かの冗談か、カフー(【果報】与那喜島の方言:いい報せ、幸せ)か。沖縄の青い空と海、そして青い恋心。この青を失くしてはいけない。
選考委員から「自然とやさしい気持ちになれる作品」と絶賛された第1回『日本ラブストーリー大賞』大賞受賞作品(2005年)。原田マハの鮮烈なデビュー作。
お隣のおじさんに感謝して「もぐもぐタイム」をそれなりに楽しみながら、『はよー帰ってこんかな~、うちの旦那さん💕』と夫のパンツ・・・、もとい洗濯物越しに台湾の暮れゆく空を見上げる新婚の彼女。
そんな娘の姿を想像すると笑えますが、何だかほのぼのとした気分にもなりました。でも、これって小説やマンガ、あるいはCMのワンシーンになりませんかね?
作品の中のちょっとしたエピソードにお困りのクリエーターの皆さん、いかがですか!
#ネタに使っていいよ。