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本さえあれば、日日平安

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長迫正敏がおすすめする本です。


本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!

2019/11/01 更新

本さえあれば、日日平安


長迫正敏がおすすめする本です。


文庫

マンガ日本の古典① 古事記

著者:石ノ森章太郎

出版社:中央公論新社

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マンガ日本の古典① 古事記

娘が嫁いだことで寂しい思いもしたが、予想外の喜びもあった。娘の部屋だった和室を「使ってもいいよ。」と、奥さんからお許しが出た。
以前このコラムでも書いたが(詳しくは2011年8月8日『モノレールねこ』を読んでね。)、今の住まいに引っ越してから私の部屋はなかったが、やっと念願の「自分の城」を手に入れることができたのだ。
奥さんも私のことを不憫に思ってくれていたのだ。ドラえもん体形(笑)だと、からかったりしてごめん。心で詫びた。

でも奥さんの気が変わらないとも限らない。急いで本を棚に並べないといけない。ジャンル、判型、出版社、著者に仕分けて番号順に整える。仕事として毎日していることなので自然と手が動く。良くも悪くも、書店員の習性というものだ。

後日仕事から帰ると、本棚に私のではないコミックが並んでいた。『おたんこナース』、『動物のお医者さん』、『研修医なな子』などのシリーズが並んでいる。奥さんのコミックコーナーが出来ていた。よく見ると2重になっているところもあり、奥の列にもコミックがあった。『諸葛孔明』、『史記』、『太平記』、そこは歴史コミックコーナーだった。
他にも大島弓子の短編集、里中満智子、大和和紀、近藤ようこの作品もある。そういえば大島弓子の魅力を熱く語られたことがあった。
うちの奥さんは、お笑いが好きな歴女だが、意外と乙女なところもある。

ただ奥さんが持っているマンガは、ほとんどが文庫版なので、『字が小さすぎて読めない!』と某CMのような状態となる。実は奥さん、その有名なルーペを買って読んでいるのだ。
余談だが、奥さんはCMのようにルーペをお尻に敷いて、本当に壊れないか試してみたようだ。
かわいそうに、お尻に敷かれるのは私だけで十分だ。

私も何かコミック文庫を読んでみようと試みたが、例のルーペを持っていないのでかなり厳しい。
そんな中で、ルーペなしでも読めて、楽しめたのが『マンガ日本の古典 ① 古事記』だった。

イザナキ・イザナミの国生み、天の石屋戸、スサノヲの大蛇退治、因幡の素兎、大国主の国譲り、海幸彦と山幸彦―――。昔話としてなじみの深い神話、寓話がちりばめられた日本最古の書物がビジュアルに蘇る。

確かに文字は小さいが、マンガなので勢いで読める。笑いの要素が盛り込まれており面白い。
時に、くだけ過ぎと思われる表現だったり、読むのは18歳以上になってからという場面(お察しください)があるので、小学生・中学生に無条件で勧めるには、ちょっと抵抗も感じる。
だからこそ大人の方には、是非にとお勧めできる。

自分の本棚に置いている本は、自分で選んだ本であり、自分好みの本だけで占められている。自分の城だからそれで良いのだが、公私ともにあまり冒険をしない私は読書においても同様で、それ以上の広がりがない。自分だけの閉ざされた世界であり、読書の鎖国状態といえる。
例え古い本でも、初めて読む本は自分にとっての新刊だ。奥さんの本が増えるのは歓迎だ。
次は『はいからさんが通る』に挑戦しよう。

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