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本さえあれば、日日平安

本さえあれば、日日平安

長迫正敏がおすすめする本です。


本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!

2020/04/26 更新

本さえあれば、日日平安


長迫正敏がおすすめする本です。


文庫

面白南極料理人

著者:西村淳

出版社:新潮社

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面白南極料理人

休日の朝、ミシンの音で目覚めた。リビングに行くと妻がマスクを作っていた。必要に迫られ急に始めたわけではない。もともと何かを手作りするのが大好きなのだ。クッションカバーや小物入れ、カーテン、タペストリーなど、家の中は妻の作品で溢れている。DIYも好きでちょっとした物なら作ってしまう。
なので私は、妻のことをクラフト工房○○○(ここに妻の名前が入る)と呼んでいる。

でも妻は、お片付けがちょっと苦手。お客さんが来るとなると、「それ急げ!」と私の部屋に何でもかんでも押し込んでくる。「ゴメン後で戻すから」と言ってはいるが、放置されたままだ。
だから私の部屋は物置と化している。

妻は料理も上手い。朝はカフェ○○○(同じく妻の名前が入る)、昼はキッチン○○○となる。夜はお酒が出るのでスナック○○○と呼んでいる。
だが私はお酒が全くダメだ。それに私の話は面白くないらしい。なので妻は、一緒に飲んでいて会話も楽しい、私より随分若くて、私より少しだけイケメンな息子が仕事から帰って来るのを楽しみに待っている。
常連さんを待ちわびているホステスさんのようだ。

私は行ったことがないのでよく分からないが、ホステスさんが居るのはスナックではなく、バーあるいはラウンジ、またはクラブと呼ぶのだろうか?まあキャバクラでないのだけは確かだ。それは私でもわかる。
どう考えても妻にキャバ嬢は無理だ。

そんな妻は映画が好きだ。TVで放送される映画を録ってはDVDにして残している。わが家専属のレンタル屋さんだ。休みの日にはレンタル○○○(またまた妻の名前)から、その日の気分にあった映画を選び楽しんでいる。お酒は苦手だが、映画なら私も相手ができる。
妻は私とは違う場面で笑うこともある。微妙に笑いのツボが違っているが大勢に影響はない。休みには終日家に居て、お菓子を食べながら一緒に映画を見る。眠たくなったら仲良くお昼寝をする。
これが目下のところ、わが家の休日の過ごし方だ。

「面白南極料理人」 西村 淳  新潮文庫

映画『南極料理人』2009年公開、堺雅人主演、ヒューマン「癒し系」コメディの原作本。
この映画を見た後、必ずラーメンが食べたくなる。もちろん堺雅人の手作りラーメンが。

ウイルスさえも生存が許されない地の果て、南極ドーム基地。そこは昭和基地から1000㎞かなた、標高3800m、平均気温-57℃、酸素も少なければ太陽も珍しい世界一過酷な場所である。
でも、選り抜きの食材と創意工夫の精神、そして何より南極氷より固い仲間同士の絆がたっぷりとあった。第38次越冬隊として8人の仲間と暮らした抱腹絶倒の毎日を、詳細に、いい加減に報告する南極日記。

そう言えば、だいぶ以前にも書いたが、妻は私と息子の散髪をしてくれる。もう30年以上にわたり、彼女はわが家の散髪屋さんだ。散髪屋さんは英語でバーバーというらしい。だからバーバー○○○だ。もちろん○○○には妻の名前が入る。バーバーは発音が難しい。バーバー、バーバ、バ…バァ
もうお分かりでしょう。今回のオチ、決して口にしてはなりませぬ。

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