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本さえあれば、 日日平安

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長迫正敏がおすすめする本です。


2021/02/22 更新

本さえあれば、 日日平安


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ノンフィクション

14歳の君へ どう考えどう生きるか

著者:池田晶子

出版社:毎日新聞社

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14歳の君へ どう考えどう生きるか

最近YouTubeでよく見ているのはsnack time(スナックタイム)という中学生バンドです。サックス、トランペット、ピアノ、ドラムという編成でジャズやフュージョンをはじめ緑黄色社会「Mela!」、YOASOBI「夜に駆ける」など幅広いジャンルの音楽を演奏しています。
私が最初に視聴したのは「The Chicken」。伝説のベーシスト、ジャコ・パストリアスがカバーして有名になった曲です。

衝撃でした。本当に中学生!?アンサンブルもソロのアドリブもとてつもなく上手。さらに言えば現在は中学生でも、トランペットとドラムの子は、この「The Chicken」を演奏(収録)した時まだ小学生だったとのこと。
ぶっ飛び~、まさに「恐るべき子供たち」です。

なかには「ごめんやけど、もう知ってるよ」という人もいるでしょうが、ご存じない方は、今すぐこれを読むのを止めYouTubeで検索して見て(もちろんまたコラムに戻ってきて)ください。「スナックタイム」「チキン」とか「中学生バンド」「うまい」でヒットするはずです。

どうです?「聴いてみな、飛ぶぞ」と誰かに言いたくなるでしょ。

そう言っている私の意識は中学生の頃に飛んでいました。14歳の私は通知表に書かれている担任からの所見に見入っていました。
「素直」とか「真面目」とか、何とかひねり出した長所と思われる記述の後、「だが他人の意見に流されやすい」と担任は締めくくっていました。

私は思いました。「他人の意見に流されやすい」、ならば他人の意見を聞かなければいいのでは…そうだ話をしなければいい。自分の殻に閉じこもり、自分だけの世界にひきこもっていきました。普通に学校に通っている、歩くひきこもりでした。

松本清張の小説だったら「初老」と表現される年齢(みうらじゅん・著『「ない仕事」の作り方』文春文庫)になった今も、どうやらその傾向は続いているようです。悔しいけど担任の見立ては正しかったと言えます。
初老のこじらせ男子のできあがり。

でも今から考えれば、自分から寄せていった感があるように思えます。例えば星占いや血液型別の性格診断で「あなたはこんなタイプ」と言われたら、知らないうちに自分をそちらに近づけていくようなものです。

言われたことに従ってしまう素直だからこその愚かしさ、そして言葉が人間を支配する恐ろしさを感じます。

もし中学生だった時にこの本があったなら、この本を読んでいたら、「他人の意見に流されやすい」を「自分で考え行動できる」に変えられていたはずです。

「14歳の君へ どう考えどう生きるか」 池田晶子 毎日新聞社

人はなぜ生きるのか。生きなければならないのか。世代を超えて読み継がれる哲学書のロングセラー。
「人は弱っている時や元気がありすぎる時、誰かの断言が必要で、そんな時、池田さんの言葉はグリグリくるのです」ヨシタケシンスケ

中学生の自分に戻ることはできません。だから、いま中学生の皆さんには是非お勧めしたい一冊です。
教室だけが「世界」じゃない。前に前に、そしてずっと遠くまで飛んで行ってください。

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