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本さえあれば、日日平安
長迫正敏がおすすめする本です。
本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!
2021/05/18 更新
本さえあれば、日日平安
長迫正敏がおすすめする本です。
文庫
レジまでの推理 本屋さんの名探偵
著者:似鳥鶏
出版社:光文社
コミック担当になって一年と半年、お問い合わせを受けて即答できることも増えました。それなりにスタッフからも頼られています。こう見えて実は私、やれば出来るオジサンなんです!
でも、そんな頃が一番危ない、ということも知っています。経験済みだからです。ちゃんと調べず、知ったかぶりで答えて恥をかいたり、迷惑をかけたりしてきました。あくまでも謙虚に、控えめに、初心忘るべからず。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」
座右の銘です、私の。
とは言え、「それはね~」と若い人に対して偉そうにしたいのもオジサンならではの特徴です。あの人、見た目によらず意外とやるな、知っとるな、と思わせるため、コミックのタイトルを短く略して言います。
例えば「僕のヒーローアカデミア」は「ヒロアカ」、「ヲタクに恋は難しい」は「ヲタ恋」など、ちょくちょく話の中にぶっこみます。でも最近話題の「東京卍リベンジャーズ」はどう略すのでしょうか?こっそりネットで調べてみました。「東卍(トーマン)」、「東リベ」、単に「リベンジャーズ」だったり、定まっていないようです。
こんな時は、私が師と仰ぐ凄腕のデキる女子、もう一人のコミック担当であるMさんに聞くに限ります。
「卍(マンジ)」だそうです。ウッス、勉強させていただきました!
そしてコミックではありませんが、先日の『世界一受けたい授業』で紹介された「多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。」は、「パフェねこ」と呼ばれていることもMさんから教えてもらいました。
ただ、その呼び方は、私が知ったのがつい先日というだけで、発売当初から使われている様です。知ったかぶりで誰かに教えようとしたら、恥をかくところでした。
IKKOさんなら、例の口調で「今ごろ~!」と言うことでしょう。書店員になって36年目ですが、まだまだです。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」
そしてもう一つの座右の銘、「われ以外 皆わが師」、忘れてはいけません。
「レジまでの推理 本屋さんの名探偵」 似鳥 鶏 光文社文庫
書店員は超多忙。品出しや客注をこなし、レジ対応の合間に万引き犯を捕まえ、閉店後には新作を読んでPOP書きやイベントの準備。でも、本と本屋が好きだから、今日も笑顔でお店に出るのだ。でも時には、お客様から謎すぎる悩みが寄せられて…。
ここは町の本屋さん。名物店長と個性的なバイトの面々が、本にまつわる事件を鮮やかに解決します。本屋さんよ、永遠に。
店舗によって細かいところは異なるのでしょうが、リアルな書店員の仕事とその心情が描かれています。実際こんな会話するよな~と感じるやりとりがあり、この人、何かバイトの〇〇〇さんに似とるよな~と思ったりしました。
ネタバレになるので言えませんが、最後の「本屋さんよ永遠に」は衝撃的でした。店長とスタッフ、両方の立場を経験している私には、どちらの気持ちも分かります。どちらの叫び声も胸に突き刺さり、読んでいて辛くなりました。
でも物語の最後のセリフは、「ありがとうございました。またどうぞお越しくださいませ」でした。私たちの、いつもの言葉で締められていて明るい気分で読み終わりました。
そして、このコラムを最後までお読みいただき、ありがとうございます。またどうぞお越しくださいませ。お気に入りに登録なんぞしていただければ嬉しいです。
いや、急ぎません。パフェとか食べた後でいいです。