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本さえあれば、日日平安

本さえあれば、日日平安

長迫正敏がおすすめする本です。


本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!

2021/05/25 更新

本さえあれば、日日平安


長迫正敏がおすすめする本です。


文庫

厄除け詩集

著者:井伏鱒二

出版社:講談社

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厄除け詩集

啓文社ポートプラザ店に行った時、最初に見るのが店長の推薦本が集められた「Manager’s Choice」という棚です。新刊および少し前の新刊から、店長が気になるもの・おすすめの銘柄をセレクトしてつくった棚です。
店長の言を借りれば、“ジャンルインデックスや個別POPなどはつけず、あえて「ゆるめ」に仕上げた”もので、“存外肩肘張らず楽しみながらやっています”とのことです。

棚3段あるなかで面陳(表紙を見せて展示)はわずか1点か2点、ほとんどが棚差しで1冊ずつしか置いていません。それが、まるで個人宅の本棚を見ているようで、興味をそそられます。店長の個人的な好みが前面に出ていることが面白く、とてもいい感じの棚になっています。
実は今日も「Manager’s Choice」を見に行きました。そして棚の中に見つけました。「手塚治虫とトキワ荘」、やはり店長の推薦本に入っていました。

ちなみに西条店は店長Mですが、ポートプラザ店は店長F、そしてディーン・フジカワとも呼ばれています。
まあ、私が密かにそう呼んでいるだけですが…

ポートプラザ店も、以前ご紹介した御書印の参加店です。神社仏閣では御朱印と一緒に由来書が頂けるように、ポートプラザ店限定記念として御書印デザインと店の一筆の由来書が配られています。
ディーン、ではなく店長Fは由来書で解説しています。

~ 当店の御書印のデザインは福山・鞆の浦の常夜燈と福山市の市花・バラの花、下にはキャラクター化した名産の「くわい」。それらを福山出身の文豪・井伏鱒二が暖かく見守る、という構図です。~

そして一筆は、井伏鱒二『厄除け詩集』訳詩「勧酒」より選んでいます。

ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ

~この井伏の意訳は「人生には別れというものが必ずある。それがいつ何時来るかは分からない。だから今、この時を大切に生きよう」とも解釈できます。「別れ」は「人と人」との関係のみにとどまらず、人間が生きる上で関わる森羅万象全てが対象になるとも言えるかもしれません。~

御書印のデザインも一筆にセレクトした詩も、店長Fのセンスあふれる素敵な「Manager’s Choice」です。

ちなみに私は、『「サヨナラ」ダケガ人生ダ』から、SUPER BUTTER DOG「サヨナラCOLOR」(作詞・作曲:永積タカシ)を思い出しました。

サヨナラから はじまることが たくさん あるんだよ

YouTubeを見ると多くの人がカバーしていて、色んなバージョンがありますが、私はハナレグミ&忌野清志郎のデュエットバージョンが好きです。

そのデュエットバージョンを聴きながら思い出しました。先日、当店(西条店)で御書印を押させていただいたお客様から、「他の店の印はどんな感じですか?」とお問い合わせを受けたので、私が個人的に集めていた啓文社各店の御書印をご覧頂きました。
ポートプラザ店、緑町店、コア神辺店、コア福山西店、まだ全部ではありませんが…とご説明しているとすごく興味を持たれていました。でも当然ですが、東広島の方なので、あまり福山の店舗のことをご存じないようでした。

そこで、こんな感じで各店・各店長をコラムで紹介していくのも有りだな、と思いつきました。なにせ私は、啓文社全店の現店長より先輩なのですから、少々偉そうなことを言っても大丈夫なはずです。
実際なかには学生アルバイトだった頃から知っている店長もいますし、私が面接をして採用した人もいます。彼ら、彼女たちは、「みんな私が育てた!」と言っても過言ではありません。

ただ「いつかは、この俺を越えて行くんだぞ!」と思っていたら、「それじゃ遠慮なく」とすんなり飛び越えて行った優秀な子ばかりです。会いに行っても相手してくれるでしょうか?少し不安です。

帰り際に「店長、大変じゃけど頑張ってな!」と言った時、「お前もな!」、なんて返さないでね。

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