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本さえあれば、日日平安
長迫正敏がおすすめする本です。
本さえあれば、穏やかな日日。ほっこりコラム連載中です。本好きのほんわかブログ・「本さえあれば、日日平安」
本好きの、本好きによる、本好きのための“ほんわか”。一日を穏やかに過ごす長迫氏のおすすめ本はこれ!
2021/05/30 更新
本さえあれば、日日平安
長迫正敏がおすすめする本です。
文庫
よみがえる変態
著者:星野源
出版社:文藝春秋
新垣結衣さんの結婚報道を受け、26歳独身のわが息子もショックを隠せません。石原さとみさんの時以上の衝撃だったそうです。
そして、「もう僕には綾瀬はるかしかいない!」、とのたまっています。
息子は同じ広島県出身という共通点を綾瀬はるかさんに見い出し、望みを繋いでいます。でも息子は、厳密に言えば広島県では生まれていません。妻は里帰り出産でしたから。
「本当は鳥取県生まれなんじゃけどな~」とはツッコまず、「そうか、頑張れよ。」とだけ言っておきました。まあ、元々がそんな単純な問題でもありませんが…
最近は結婚報道も父親目線で見るようになりました。もちろん年齢的にもそうですが、嫁いだ娘がいるからに違いありません。やはり結婚相手がどんな人間なのか気になります。
わが娘の婿殿は台湾男子ですが、これまでに会ったのは5回です。初めて彼に会ってから5年なので、年1回ペースです。海外に住んでいて、また今の状況では仕方ありませんが、いまだに彼のことを「よく知っている」とは言えない間柄です。
最初に会ったのは、彼が「オジョウサンヲ ボクニ・・・」と挨拶するために来日した時です。もちろん、かぶせ気味に「断る!」と言ってやるつもりでした。一度は反対しないと何だかもったいないではありませんか。
でも心とは裏腹に笑顔で握手していました。ニコニコしている彼につられてしまったのです。
彼を見ていると、すぐわが家に順応したように思えました。それは馴れ馴れしいと感じるくらいでした。結構早い段階から娘の名前を呼び捨てにしていたからです。詳しくは知りませんが、中国語でも「○○〇ちゃん」と呼ぶときの“ちゃん”にあたる言い方があるようですが、〇〇〇と娘の名前を“さん”も“ちゃん”も付けず日本名でストレートに呼んでいました。
聞く方は面白くありません。「なんだ、もう旦那気取りかよ」と心の中で悪態をついていました。
私は今でも妻を呼ぶときは“○○子さん”とさん付けです。そして娘も“さん”付けで呼んでいます。親しき中にも礼儀あり、女性でも男性でも呼び捨ては感心しません。
ちなみに息子には“ちゃん”付けです。幼い子のようですが、息子も嫌がってはいません。たぶん、ですが・・・
順応し過ぎた娘の旦那は、私の妻が出かけていた時、「〇〇子ドコイキマシタ?」と呼び捨てで妻の居場所を訊いてきました。いやいや、そこは「お義母さん」だろう、と注意しようとしながらも、試しに私も「○○子は・・・」と呼び捨てで答えました。
少し気分が良かったことは、否めません。
星野源のエッセイ「よみがえる変態」(文春文庫)を読むと、ガッキーは大丈夫だろうか?と心配になります。ちょっと、ではなく、かなり“変態ちっく”なあれこれが書かれているからです。
でも、それだからこそ「よくぞ言ってくれた!」と思える話が満載です。「台湾に行く」のエピ―ソードでは、台湾のことが大好きになった様子が書かれています。
台湾人の女の子が軒並みタイトミニかホットパンツを着用しているのを見かけては、「足フェチなので一歩進むたびにすれ違う太ももに顔を埋めたい衝動に駆られ、空港から外に出るだけでポワーンと幸せな気持ちになった。」、とあります。
いや、私ではありません。星野源さんがそう書いています。確認するためにも、是非本書を読んでみてください。コラムで紹介するのが憚れるほど「エロも哲学も垣根なく」綴られています。
また文春文庫からは、他にも「そして生活はつづく」、「働く男」が出版されています。こちらもお薦めです。
「ライブはとても盛況だった。みんな行儀よくちゃんと聴いてくれるし盛り上がってもくれる。日本語の冗談にも声を上げて笑ってくれる、この知識と懐(ふところ)の広さよ。もっと頑張ろう。より面白いことをして、ファンの人たちや、この国の人たちを、さらに楽しませられるようになりたい。また来るぞ台湾。」
台湾が好きな星野源さんは、きっといい人です。そんなことは、もう皆さん知っているのでしょうが。
わが娘の結婚を了解したのは、妻がOKを出したからです。妻の男性を見る目は確かです。
何しろ妻がパートナーに選んだのが、この私だから。