今年は多くの自然災害に襲われた年として記憶されるでしょう。１月・草津白根山噴火、６月大阪北部地震、そして広島・岡山で甚大な被害をもたらした７月西日本豪雨、７～８月の猛暑と度重なる台風上陸、そして先日の北海道胆振東部地震。本書はテレビ出演も多い歴史学者の著者が、各地に残る古文書から過去の天災の記録を紐解き、後世に与えた影響と防災についてまとめています。
４年前に広島市で起きた土砂災害にも触れられており、古くから「蛇落地」と呼ばれた土砂崩れの多い土地が高度経済成長期に団地造成されたとあります。７月豪雨で土砂崩れが起きた矢野・小屋浦地区には、１００年以上前に建立された土石流が起きたことを記す石碑が残っているそうです。
自然災害による被害の伝承のために先人が遺してくれた資料を、現代を生きる私達が防災に活用するためにも、本書の果たす役割は小さくありません。