北広島町で「ぞうさんカフェ」を営む植田紘栄志さんが“世界で最も田舎にある出版社”『ぞうさん出版』を立ち上げて最初に刊行する本書は、「冒険起業家」の名に恥じない植田さんの自伝です。
　高校卒業後に単身オーストラリアに行き、そこからの人生はジェットコースター。とあるキッカケで縁もゆかりも無いスリランカに行ってからは、国家の一大プロジェクトに囲い込まれる数奇な運命を辿ります。タイトルの「ゾウのウンチ」とは何なのかは読んでからのお楽しみ。植田さんが凄いのは、困難の中でも次に繋がる光を見出して突き進むこと、事業をボランティアではなくビジネス視点で取り組む「起業家」であること、そして何より家族第一を貫いていること。周りの人を巻き込んで惹きつける彼の人間力が本の端々から感じられます。環境問題や平和についても考えさせられる４００ページはイッキ読み必至の面白さです。