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いつか読書をする人へ

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井上いつかがおすすめする本です。


啓文社スタッフ「井上いつか」による本のレビューです。井上いつかがお送りするコラム!
啓文社のスタッフであり、『本の虫』としても有名な「井上いつか」がオススメする本のコラムです。さて、今回はどんな本でしょう?

2021/07/28 更新

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井上いつかがおすすめする本です。


フィクション

エレジーは流れない

著者:三浦しをん

出版社:双葉社

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エレジーは流れない

たまたま握り込んでしまったしまった石ころを手放せなくなる。

帰り道、蹴りながら帰っていたらうちまでついてきてしまった。

見つけたときはとてもきれいだと思ったのに明るいところで見るとただのがらくた。

信じて磨き続けているけれどもしかしてただの石ころだったとしたら。

自分も、愛も、夢も、人生そのものが。そんなもんだったとしたら。いや、そんなもんだってもう理解しているけれども。
哀しみや絶望に浸りきれないのんきな日常、家族、友人、まぬけな災難。あきれて笑ってしまうから、ちっとも主人公になりきれない。
この物語の主人公、怜くんに、とてつもなく共感してしまいました。
哀しみに勝つのは愛や勇気だけじゃない。ぬるっと過ぎゆくまぬけな空気にのまれてしまえ。
ダイヤだと思ったら、石ころだった~。
きっと縄文時代から、わたしたちはそうやって笑ってきたのだから。
スカッとしない、さわやかじゃない、エモくもない、ぬくぬく温泉のような青春小説です。
青春っていつまで?
きっとあきれて笑ってしまいながらも、石ころを捨てられない限り青春は続くんじゃないかな。

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