人間、年齢を重ねると「昔は良かった…」と振り返る事も多くなります。話題の曲をエアチェックするために大判で鈴木英人のイラストで彩られた『FMステーション』を片手にラジカセのアンテナを伸ばし、ダイヤルをお気に入りの局に合わせカセットテープをスタンバイ、そして曲が始まるや否や録音ボタンを押したアラフィフ世代の青春の日々が蘇る本書。書名を見た瞬間に手に取ってしまいました。

『FMステーション』編集長だった著者が、FM雑誌活況だった1980年代を軽妙な語り口で振り返ります。編集部の内情から当時の音楽業界の話、そしてCD発売やどの曲を流すか公表しない新興放送局の登場など取り巻く環境変化の中で迎えたFM雑誌の終焉までが克明に記録されています。

カセットレーベルを切り取ってドレスアップした人、録音をノーマルかクロームかメタルテープかで悩んだFM・音楽ファンはぜひ！